研究課題/領域番号 |
14570922
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 稔久 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10294068)
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研究分担者 |
紙野 晃人 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40307955)
工藤 喬 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (10273632)
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
大河内 正康 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90335357)
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キーワード | アルツハイマー病 / タウ蛋白 / リン酸化 / タウオパチー / 神経細胞死 / アポトーシス / リボトキシックストレス / 2本鎖RNA |
研究概要 |
タウオパチーの1種である亜急性硬化性全脳炎ではウイルス感染によって神経神経原線維変化が引き起こされるが、この現象に注目して擬似的ウイルス感染モデルのためによく使われているpolyinosinic-polycytidylic acid(pI-pC)を用いて、2本鎖RNAとタウ蛋白リン酸化の関係について検討した。 まず、タウ蛋白と2本鎖RNAモデルであるpI-pC、および1本鎖RNAモデルであるpAとpUとの結合アッセイでは、pI-pCにより強く結合が観察された。このことより、タウ蛋白と2本鎖RNAが結合することが示唆された。次に、SY5Y神経芽細胞腫にpI-pCを添加すると、培地添加後時間とともににタウ蛋白のリン酸化とp38 MAPRの活性化は亢進しており、それはpI-pCの濃度に依存していた。そして、タウ蛋白のリン酸化に対するp38 MAPKの活性化の関与の有無を調べるためにその阻害剤であるSB203580を同時に添加すると、pI-pC添加により認められていたタウ蛋白リン酸化亢進は抑制された。次に、このpI-pCと結合して細胞内シグナル伝達に関与し結果的にp38 MAPKの活性化を引き起こすことが最近報告されたTLR3について検討をおこなった。SY5Y細胞にはTLR3の発現が認められ、さらに、siRNAを用いた蛋白発現抑制をおこなうと、培養細胞へのpI-pCの添加をおこなってもp38 MAPKの活性化およびタウ蛋白リン酸化亢進は抑制された。 以上より、2本鎖RNAは直接にタウ蛋白と結合することと、2本鎖RNAが細胞外から神経系細胞に発現するTLR3により細胞内情報伝達系を通してタウ蛋白リン酸化を誘導することが示唆された。
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