研究課題/領域番号 |
14570922
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 稔久 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10294068)
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研究分担者 |
紙野 晃人 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40307955)
工藤 喬 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (10273632)
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
大河内 正康 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90335357)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | アルツハイマー病 / タウ蛋白 / リン酸化 / タウオパチー / 2本鎖RNA / 神経原線維変化 / 神経細胞死 |
研究概要 |
アルツハイマー病(AD)脳の病理学的特徴として神経原繊維変化(NFT)が知られているが、これは異常にリン酸化したTauが重合蓄積した産物である。昨年度我々は、2本鎖RNAが細胞外から神経系細胞に発現するTLR3により細胞内情報伝達系を通してタウ蛋白リン酸化を誘導することを報告した。今年度は細胞内の2本鎖RNAがTauの機能にどのような影響を与えるかを検討した。 ヘパリンなどのグリコサミノグリカンはTauによる微小管の重合を抑制しかつTauの繊維化を促進することが知られているが、これと同様に直鎖状で負に荷電している2本鎖RNAにも同様の作用があるかどうかについて検討をおこなった。人工的2本鎖RNAであるPoly(I ; C)との結合を調べたところ、内因性の2本鎖RNA結合蛋白であるGST-StaufenΔtubおよびTauはこれと結合したが、ActinやTubulinなどの他の細胞骨格蛋白との結合は認められなかった。次に、微小管重合における2本鎖RNAの影響を調べるために冷却し脱重合させた微小管タンパクに、0.2mg/mlのPoly(I ; C)存在及び非存在下で微小管の重合を測定したところ、2本鎖RNA存在下では非存在下に比べ著しく微小管の重合が低下することが確認された。最後にTauの線維形成に対する2本鎖RNAの影響を調べるために、TauとPoly(I ; C)(0.8mg/ml)をbuffer中で混ぜ、37℃で48時間培養し、電子顕微鏡で観察したところ、直径が約20〜30nmの直線的な繊維状の構造物が多数確認できた。 以上のことより、細胞外の2本鎖RNAはTLR3を介した細胞内情報伝達系を通してタウ蛋白リン酸化を誘導し、細胞内の2本鎖RNAはTauと結合し、微小管重合を阻害し、そしてTauのフィラメント形成を促進することが示唆された。
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