老年期うつ病に関する国際比較疫学調査

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14570929
• 研究機関: 愛媛大学
• 研究代表者: 池田 学 愛媛大学, 医学部, 助教授 (60284395)
• キーワード: うつ病 / 高齢者 / 疫学 / 中山町研究 / Geriatric Mental State (GMS) / AGECAT / 国際比較 / 気分障害

研究概要

今回の中山町にける疫学調査では、痴呆性疾患の他に前回の調査で研究対象としなかった老年期のうつ病を中心とした気分障害の有病率を明らかにし、早期発見、治療に結びつけることを目的とした。国際比較可能なスクリーニングとして、Geriatric Mental State(GMS)とコンピュータによる診断システムAGECATを用いて、65歳以上の住民に構造化面接を実施した。GMSはうつ病および痴呆を中心とした高齢者の精神疾患の疫学調査のために開発された半構造化面接である。
中山町在住の65歳以上の在宅高齢者1461人のうち、1156人(79.1%)が参加した。現在、診断結果を解析中であるが、その一部は第12回世界精神医学会横浜大会においてシンポジウムTHE ASIADEP CONS0RTIUM: LATE-LIFE DEPRESSI0N AND DEMENTIA IN SOUTHEAST ASIAで報告した。その際、我々のデータは、アジア諸国のデータとともにリバプール大学のCopeland教授のもとに集められ国際比較研究を開始することが決定した。また、すでに明らかになった痴呆前段階ないしごく早期痴呆(Mild cognitive impairment: MCI)の有病率については、上記横浜大会のシンポジウムEARLY DIAGNOSIS AND THERAPEURIC STRATEGY FOR MCI AND ALZHEIMER DISEASEで発表するとともに、すでに報告した(池田と繁信、精神神経学雑誌、印刷中)。

研究成果

• [文献書誌] Ikeda, M.: "Prcvention and early intervention for vascular dementia in community dwelling elderly: findings from the Nakayama study"PSYCHOGERIATRICS. (in press).
• [文献書誌] 池田学, 繁信和恵: "Mild cognitive impairment(MCI)の地域における有病率-中山町研究を中心に-"精神神経学雑誌. (印刷中).
• [文献書誌] 池田学: "地域における痴呆の早期発見の意義と対応の考え方"老年精神医学雑誌. 14. 9-12 (2003)
• [文献書誌] Shigenobu, K., Ikeda, M., Fukuhara, R., Komori, K., Tanabe, H.: "A Structured open trial of risperidone therapy for delusions of theft in Alzheimer disease"American Journal of Geriatric Psychiatry. 11. 256-257 (2003)
• [文献書誌] 渡辺恭子, 酉川志保, 繁信和恵, 塩田一雄, 松井博, 池田学: "痴呆症に対する継続的音楽療法の効果についての検討"精神医学. 45. 49-54 (2003)
• [文献書誌] Ikeda, M., Brown J, Holland AJ, Fukuhara, R., Hodges JR: "Changes in appetite, food preference, and eating habits in frontotemporal dementia and Alzheimer's disease"Joumal of Neurology Neurosurgery & Psychiatry. 73. 371-376 (2002)
• [文献書誌] 鉾石和彦, 池田学, 田辺敬貴: "Annual Review 神経 2003"中外医学社. 366 (2003)