研究課題/領域番号 |
14570931
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 川崎医科大学 (2004) 九州大学 (2002-2003) |
研究代表者 |
中川 彰子 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (70253424)
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研究分担者 |
吉浦 敬 九州大学, 大学病院, 助手 (40322747)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | 強迫性障害 / 認知機能 / 脳機能 / functional MRI / 遂行機能 / 選択的注意機能 / Stroop test / 尾状核 |
研究概要 |
強迫性障害(OCD)患者に対して、認知機能と脳機能の関連を検討することを目的とした神経心理検査およびfunctional MRI(fMRI)検査を施行した。対象は九州大学病院を受診したOCD患者31名と年齢および性別をマッチングさせた健常対照者19名で、OCD患者はY-BOCS(強迫症状評価尺度、40点満点)で29.56±3.29点で全例中等度以上の強迫症状を有していた。認知機能の評価のためWAIS-R(知能)、Wisconsin Card Sorting Test(遂行機能)、Stroop Test(選択的注意)、ROCFT(空間記憶)を施行した。 OCD患者は健常者に比して知的に低かったが、遂行機能、選択的注意、空間記憶の認知機能検査において健常者との有意差を認めなかった。次に、1.5テスラの臨床用MRI装置を用いたfMRI検査を施行した。脳賦活課題として、Stroop Testを応用した課題をプロジェクターによってスクリーンに呈示した。解析にはSPM99を用い、対照条件時に比して課題条件時に強い賦活が得られた部位をp<0.05(補正後)を有意水準として算出した。OCD患者と健常者は背外側前頭前野、頭頂葉、後頭葉および小脳に類似の賦活パターンを認めた。しかしOCD患者は健常対照者に比して右尾状核の賦活が低下していた。これらの領域はこれまでの機能画像研究によって、OCDにおける安静時の活動亢進が報告されている。今回の結果もOCDでは安静時に既にこれらの領域の賦活が起こっていることを示唆していると思われる。前年度より更に対象者数を増やして検討したが、今回の結果から、神経心理学的検査ではOCDに特異的な所見を認めなかったものの、機能画像検査の所見から、基底核を含む神経回路の亢進がOCDの臨床症状および選択的注意などの認知機能と相互に関連する可能性が示唆された。
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