研究課題/領域番号 |
14570950
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
松村 人志 大阪医科大学, 医学部, 講師 (50173886)
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研究分担者 |
江村 成就 大阪医科大学, 医学部, 助手 (20247860)
黒田 健治 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (20170128)
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キーワード | 一酸化窒素 / 脳 / レム睡眠 / 意識 / マイクロダイアリシス |
研究概要 |
ラットの脳にマイクロダイアリシスプローブを埋め込んでリンゲル液を灌流し、同時に埋め込んだ電極から脳波及び筋電活動を記録しつつ、脳内の一酸化窒素(nitric oxide, NO)の量的変動を数日間にわたり測定することに成功した。マイクロダイアリシスプローブは、NO合成酵素阻害剤を投与すればレム睡眠が増加し、逆にNO供与剤を投与すればレム睡眠が減少することがわかっている部位、すなわち視床及び視床下部領域に埋め込んだ。この部位のNOの濃度の変化を調べたところ、日中、ラットが眠っている時間帯には比較的低値を示し、夜間ラットが活動している時間帯には高値を示した。さらにNO合成酵素阻害剤を夜間に持続的に脳内投与することによりレム睡眠が増加する時間帯には、NOの値が、NO合成酵素阻害剤を投与していない夜間に比較して、明らかな低値を示した。これらの結果は、以前われわれが見出したNO合成酵素阻害剤によるレム睡眠増加作用が、その薬物の非特異的な作用ではなく、NOの低下によるものであることを示唆するものである。 さらにラットの実験で、NOとの関連はまだ不明ではあるが、視床下部で覚醒を維持すべく機能している可能性が高いオレキシン産生細胞の活動を、以前われわれが見出したアデノシンA_<2a>受容体刺激が睡眠を促進する部位である吻側前脳基底部のニューロン群の活動が、抑制している可能性が示された。 また人間での研究では、かねてより主張されているように、脳脊髄液中のオレキシンのレベルは、レム睡眠の過剰に類似した病態であるナルコレプシーにて、極端に低下していることがわれわれの症例でも確認された。
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