研究課題/領域番号 |
14570951
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
磯谷 俊明 関西医科大学, 医学部, 講師 (10223059)
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研究分担者 |
木下 利彦 関西医科大学, 医学部, 教授 (20186290)
柳生 隆視 関西医科大学, 医学部, 講師 (10239733)
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キーワード | アルツハイマー型痴呆 / 脳波 / 定量脳波 / 脳波空間解析 / 複雑性 / Omega complexity / 国際情報交換 / スイス:ドイツ |
研究概要 |
昨年度のpower spectral解析であるGlobal Field Power解析やsource localization解析であるLow Resolution Electromagnetic Tomography(LORETA)解析に引き続き、未服薬の軽症アルツハイマー型痴呆患者17名(73.6±5.5歳)と対照健常高齢者17名(70.3±8.9歳)に、同じく脳波空間解析の手法であるglobal解析(Wackermann,1996)を用い、3つの指標値Omega complexity(Ω:脳電位空間全体の複雑性)、Sigma(Σ:total power)、Phi(Φ:generalized frequency)を求め、それぞれの値を両群で比較した。また、アルツハイマー型痴呆群内で、これら3つの指標値と重症度(MMSE、改訂長谷川式簡易知能評価スケールHDS-RとWAIS-Rの得点)との相関を算出した。 その結果、アルツハイマー痴呆群のOmega値(5.8±1.2)が対照群のそれ(4.9±1.3)に比べて有意に高かった。また、Phi値と、MMSE得点・WAIS-Rによる全IQおよび動作性IQの間に有意の正の相関を認めた。 これらの結果は、軽症アルツハイマー型痴呆患者では脳電位空間の複雑性が増しており、平均周波数とともに知的機能が低下することを示す。脳電位空間の複雑性の増加は、軽症アルツハイマー型痴呆患者での種々の脳機能発現過程間の協調性(円滑さ)の低下を示唆する。また、平均周波数と知的機能との正の相関は、脳電場変換速度の徐化が認知機能障害の程度と関連することを示唆している。
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