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2004 年度 実績報告書

アルツハイマー型痴呆の脳電位空間構造の特徴とその塩酸ドネペジル治療による変化

研究課題

研究課題/領域番号 14570951
研究機関関西医科大学

研究代表者

木下 利彦  関西医科大学, 医学部, 教授 (20186290)

研究分担者 入澤 聡  関西医科大学, 医学部, 助手 (40340666)
キーワードアルツハイマー型痴呆 / 脳波 / 定量脳波 / 脳波空間解析 / 認知症 / Microstate analysis / 国際情報交換 / スイス:ドイツ
研究概要

我々は、これまで、脳波空間解析の手法である(1)Global Field Power (GFP)解析、(2)Low Resolution Electromagnetic Tomography (LORETA)解析、(3)global解析(3つの指標値Omega complexity(脳電位空間全体の複雑性)・Sigma (total power)・Phi (generalized frequency)を求める)を、未服薬の軽症アルツハイマー(AL)型痴呆患者17名(73.6±5.5歳)と対照健常高齢者17名(70.3±8.9歳)に用い、(1)δ帯域(1.5-6.0Hz)におけるAL型痴呆群のGFP値が対照群より大きく、塩酸ドネペジル治療後のAL型痴呆群のGFP値は、β3帯域(21.5-30.0Hz)で増加し、(2)δ帯域での電流密度が対照群に比べ、AL型痴呆群の右下側頭回周辺で高く、(3)AL型痴呆群のOmega値(5.8±1.2)が対照群のそれ(4.9±1.3)より高く、Phi値と、MMSE得点・WAIS-Rによる全IQおよび動作性IQの間に正の相関があることを見出した。これらの結果は、軽症アルツハイマー型痴呆患者に脳機能(特に記憶)の障害が存在し、塩酸ドネペジルが軽症アルツハイマー型痴呆患者の神経細胞を賦活していること、軽症アルツハイマー型痴呆患者では種々の脳機能発現過程間の協調性(円滑さ)が低下しており、脳電場変換速度の徐化が認知機能障害の程度と関連することを示唆する。
現在、引き続き、これも脳波空間解析手法の一つ、Microstate解析を両群被験者に施行している。脳の電位空間構造は、一定の類似した構造パタンが持続した後に急速に他の構造パタンに変化すると考えられるが、この間のほぼ安定した電位空間構造が連続して出現する区間を、Lehmann(海外共同研究者)は脳のmicrostateと呼び、脳内の情報処理過程を担う電気的最小単位であるとした。近年、人間のmicrostateは人種を超えて、4つの電位図に集約されることがわかってきた。これら4つの電位図すなわち情報処理過程は、そのそれぞれの出現頻度・平均持続時間・占有率に両群間に差を認めるだろうか。結果は近く海外で発表予定である。

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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