平成14年度研究実績 1.扁桃体基底外側核(BLA)内GABA作動性抑制性ニューロンの電気生理学的および形態学的同定 抑制性神経伝達物質GABAの合成酵素であるグルタミン酸脱炭酸酵素遺伝子に蛍光物質(GFP)遺伝子をノックインしたマウス脳から作成したスライス標本内で蛍光照射下にGABA作動性ニューロンを同定し、全細胞記録を行った。脱分極性通電時のスパイク発射様式、スパイク幅、膜時定数等の電気生理学的特性、後過分極(afterhyperpolanzation)の解析から、BLAの中-大型GABAニューロンは、以下の3タイプに分類された:高頻度発火するfast-spiking (FS) cell、スパイク振幅の漸減とリバウンドスパイクを示すlow threshold-spiking (LTS) cellスパイク間隔の適応(adaptation)を示すregular-spiking (RS) cell。 2.モノアミンによるBLA内GABA作動性ニューロンのサブタイプ別修飾 BLA内GABA作動性ニューロンに対して、ノルアドレナリン(NA)はRS cellのみを、セロトニンはFS cellとLTS cellの両サプタイプを興奮させることが明らかになった。 3.NAによるRS cell興奮のメカニズム (1)NAは、α_1アドレナリン受容体を介した非選択性カチオンチャネルの活性化及びresting K^+コンダクタンスの抑制という二つの異なるメカニズムを介してRS cellを脱分極させ、スパイク発射に至ること (2)上記NAの興奮性作用は細胞外Ca^<2+>依存性を示す一方、phospholipase Cシグナル伝達系の活性化及び細胞内Ca^<2+>には依存しないことが明らかになった。 平成15年度の研究の展開 GFPノックインマウス内側前頭前皮質に蛍光トレーサーを注入し、入力を受けるGABAニューロンを同定する。
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