研究概要 |
内側前頭前皮質(mPFC)の制御を受ける扁桃体基底外側核(BLA)GABA作動性神経サブタイプの同定 (方法)本研究には蛍光物質GFP遺伝子をGABA合成酵素であるグルタミン酸脱炭酸酵素67遺伝子プロモータ下流にノックインしたマウスを用いた。マウスのmPFC内にGFPと異なる励起波長をもつ蛍光物質を微量注入し,mPFCからBLAへの投射系を順向性に標識し,この投射系から入力を受けるGFP陽性GABA作動性神経細胞を同定した。 (結果)形態学的に紡錘形で,生理学的にはregular-spikingパターンの発火様式を示すサブタイプ(Regular-spikling cell)がmPFCから密な投射を受けることが明らかになった(47/50)。このサブタイプがmPFCから単シナプス性入力を受ける可能性は,標識投射系に弱い細胞外電気刺激(30μA)を加えると短潜時の興奮性シナプス後性電流(EPSCs)が惹起されるという事実によって間接的に支持される。 他のサブタイプに関しては,low-threshold spiking cellでは11/41、fast-spiking cellでは19/48と有意にRegular-spikig cellよりも低率であった。また,標識されたmPFCからの投射線維に対して強い電気刺激を加えても単シナプス性EPSCsが誘発されない細胞がこの2型では認められた。 (考察)mPFCからBLAのGABA作動性神経細胞に投射する入力の多寡は、標的となるサブタイプによって異なり,Regular-spiking cellはBLA内のすべての領域で密な入力を受けていた。この事実は,Regular-spiking cellがmPFCからの入力を受けてフィードフォワード抑制をBLA内の主細胞に加え,恐怖条件付け学習などの情動学習を制御する可能性を示唆している。
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