研究概要 |
良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん(Benign Adult Familial Myoclonic Epilepsy ;以下BAFME)は、30〜40歳代で発症、常染色体優性遺伝型、高い浸透率、四肢のミオクロニー、痙攣発作、手の振戦などを特徴とする。BAFMEは日本人の症例しか報告されておらず、日本国内において解明しなければならない遺伝性疾患であると考えられる。 BAFME患者およびその家族の強力により、ABI Linkage map setを用い、Linkage analysisを行い、病因遺伝子が8q23の約4.4cMに存在することを突き止めた。また、4.4cMと推定される病因領域のうち、1/3の相当する約1,200kbをカバーするBACクローンおよびほぼ全領域をカバーするYACクローンによるコンティーグを取得し、これらを用いて、エクソン・トラッピングを行い、これまで報告されていない2つの新規エクソン様配列を得た。この配列を含む最長cDNAを取得して解析したところ、配列内にORFを見つけることができなかった。 また、我々が狭めた病因領域に存在する3つのカリウムチャンネルタンパク質を同定した。うち2つは既知のカリウムチャンネルタンパク質(Kv8.1,KCNQ3)であった。KCNQ3には変異を見つけることができなかった。我々は、Kv8.1のエクソンの上流にさらに別のエクソンがあることを同定し、先に8番染色体にマッピングを行ったCHRNA6遺伝子と共に、プロモーター領域の解析を行った。これにより、これらの遺伝子発現に重要な要素が同定された。この新しく同定された領域およびプロモーター領域の変異解析を行い、これら遺伝子も病因遺伝子から除外された。3つめは、最近Kv9.2であることが判明し、プロモーター領域およびCDS領域に変異が存在しないことが明らかになった。
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