研究概要 |
白血病に対する同種造血幹細胞移植後の免疫再構築をT細胞抗原受容体の多様性の観点から解析する過程において、ドナーの成熟T細胞プール由来αβT細胞のオリゴクローナルな増幅と、それによるT細胞抗原受容体レパートリーの歪みが生ずることを見出した。これはサイトメガロウイルスなどヒトに潜伏感染している微生物に対する免疫応答である可能性を報告した(Saitoh H, et al. Leukemia 2003;17:1626-1635)。また最近、Vδ1セグメントを使用しているγδT細胞(以下Vδ1T細胞)にもオリゴクローナルな増加が同種造血幹細胞移植後に観察されること、しかも複数の患者間で共通のcomplementarity-determining region 3 (CDR3)配列がみられるという興味深い事実を見出した。種々の微生物抗原を用いたpreliminary studyによると、in vitroにおいてEpstein-Barr virus感染細胞に対してクローナルに増殖したVδ1+γδT細胞のCDR3δ領域と、同種造血幹細胞移植を受けた症例で増加しているVδ1+γδT細胞のCDR3δ領域とが似ていることが判明し、Vδ1+γδT細胞が生体内においてウイルス感染に対する防御能を担っていることを示唆した(日本血液学会・臨床血液学会総会、京都、2004年8月および米国血液学会年次総会ASH, San Diego,2004年12月にて発表、論文投稿中)。
|