研究課題/領域番号 |
14570962
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小川 誠司 東京大学, 医学部附属病院・客員助教授(常勤形態) (60292900)
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研究分担者 |
半下石 明 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20344450)
黒川 峰夫 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80312320)
千葉 滋 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (60212049)
鈴木 隆浩 東京大学, 医学部附属病院, 客員助手(常勤形態) (40345210)
神田 善伸 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (30334379)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | t(1;7)(q10;p10) / del(7q) / メチル化解析 / 骨髄異形成症候群 / アルフォイド配列 / CpGアイルランド / メチル化パターン / MDS |
研究概要 |
不均衡型転座t(1;7)(q10;p10)および腕内欠失del(7q)は、骨髄異形成症候群(MDS)で比較的高頻度に認める染色体異常である。これらの染色体異常を有する症例の予後は極めて不良であって、その治癒率向上のためには、これらの転座によるMDS発症の分子病態の解明が強く望まれる。そこで、本研究では、これらの転座のゲノム解析を行うことにより、その分子病態を明からにすることを試みた。 まず、t(1;7)転座の転座切断点に関しては、1番、7番の動原体近傍のアルフォイド配列D1Z7およびD7Z1をプローブとした定量的FISH解析により、本転座が両アルフォイド配列の直接の組み換えによって生じていること、これらのアルフォイド配列は塩基配列および高次構造上極めて相同性が高いこと、これらの転座がしばしばアルキル化剤投与後に認められる異常であることから、同転座がDNA複製後にこれらの領域で生じた二重鎖切断が相同組み換えにより修復される際に生じる可能性が強く示唆された。一方、その転座切断点の分布は症例により大きく異なることから、本転座によるMDS発症のメカニズムとしては、1pのトリソミーないし7qのモノソミーが重要であると考えられた。 そこで、t(1;7)およびdel(7q)で共通して遺伝子量の低下が認められる7番染色体長腕(7q)について、メチル化による遺伝子の不活化という観点から、その標的遺伝子の候補を検索した。すなわち、7qに存在するCpGアイランドのうち、PCR増幅可能な130個(約60%)に関して、bisulfite-シーケンス法によりMDSを含む造血器腫瘍検体におけるメチル化の有無を網羅的に解析した。その結果、培養腫瘍細胞株と患者検体ではメチル化の程度には明確な差異が認められるものの、メチル化を受けやすいCpGアイランドは両者で共通しており、かつ、7q上クラスターをなして存在することが明らかとなった。さらに、高頻度に腫瘍特異的メチル化を受けるCpGアイランドの下流に存在する20個の遺伝子に関して、その発現とメチル化との相関解析により、MDSにおける7qの標的癌抑制遺伝子の候補として、PFTK1およびQ9P1T7を同定した。今後、多数のMDS症例について、これらの遺伝子の変異解析の結果に興味がもたれる。
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