研究課題
BCL6はリンパ腫発症に関わる遺伝子として申請者により発見された遺伝子でzinc-finger proteinをコードする。本研究はBCL6タンパクのアセチル化がBCL6の機能に与える影響BCL6類似遺伝子であるBAZFの解析などから、BCL6の機能やそのリンパ腫発症における役割をあきらかにしようとするものである。本年度はBCL6がHistone acetyl-transferaseのp300と会合し、アセチル化を受けること、アセチル化を受けるのはBCL6タンパクの中央部分であること、アセチル化されたBCL6は転写抑制能が減弱することを発見した。また、同じHistone acetyl-transferaseであるP/CAFとも会合することが示唆された。マウスBAZF遺伝子をプローブとしてヒトBAZF遺伝子のクローニングを行った。ヒトBAZF遺伝子は9つのエクソンからなり、1443bpのopen reading frameを持ち、480のアミノ酸をコードすると考えられた。アミノ酸レベルでヒトとマウスは91%の相同性を持ち非常に保存された遺伝子であった。機能ドメインと考えられるBTB/POZドメイン、zinc fingerドメインはほぼ完全に一致しており、機能的にも保存されていると考えられた。FISH解析によりこの遺伝子は染色体17p13.1に位置することが明らかとなった。BAZFの発現をノーザンブロットにて解析した結果、ヒト組織でubiquitousな発現が認められ、特に心臓と胎盤にて強い発現が認められた。細胞株においては未熟B細胞株と赤白血病株にて発現が認められた。赤白血病株(HEL)にフォーボルェステルを加えると巨核球への分化が誘導されることが知られているが、この系においてBAZFが発現増強されることが明らかとなった。これらのことからBAZFはB細胞の初期分化や巨核球分化などBCL6と異なるstage、系列においてBCL6のように分化の制御を行っていると考えられる。
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