1)インターロイキン12とSTAT4の制御するターゲット遺伝子の同定 IL-12、STAT4によるシグナル伝達により制御されるターゲット遺伝子の多くは不明であり、その同定を試みた。その結果、パーフォリン遺伝子が、IL-12とSTAT4の直接のターゲット遺伝子であると同定された。パーフォリン遺伝子のプロモーター領域には、STAT4の結合する2つの塩基配列が連続し、その配列にSTAT4が四量体になって結合、転写を調節る機構が考えられた。 2)インターロイキン12シグナルを負に調節する機構の解明 IL-12受容体(R)は、β1、β2鎖の二つのサブユニットから構成され、JAK2、TYK2キナーゼと転写因子のSTAT4を介して核内にシグナルを伝える。IL-12によるシグナル伝達を負に調節する機構を解明するために、Th2細胞に強く発現されているSOCS3について検討した。GSTプルダウンアッセイを行うと、GST-IL12Rβ2鎖とSOCS3は会合するが、SOCS5は会合しなかった。293T細胞にコトランスフェクションすると、IL-12Rβ2鎖とSOCS3は共沈された。IL-12Rβ2鎖細胞内領域のチロシン基の点変異や欠失変異、SOSC3のSH2領域の変異を加えると、IL-12Rβ2鎖とSOCS3の共沈は認められなくなった。ゲルシフトアッセイでSTAT4のDNA結合能について検討すると、SOCS3によってDNA結合は抑制され、SOCS3のSH2変異では抑制されなかった。IL-12による転写調節についてルシフェラーゼアッセイで検討すると、SOCS3により、転写活性が抑制された。IL-12Rβ2鎖にはSOCS3が会合しIL-2/STAT4のシグナルを負に制御すると考えられる。
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