【目的】 IL-12は、Th1細胞の分化、IFN-γの産生、細胞傷害性の増強の多彩な作用をもち、移植後のGVHD、アレルギー、炎症性疾患に関わるIL-12によるシグナル伝達を負に調節する機構を解明する。 【方法と結果】 1、IL-12受容体を介するシグナルとSOCS3 GSTプルダウンアッセイを行うと、GST-IL-12Rβ2鎖とSOCS3は会合した。293T細胞にコトランスフェクションすると、IL-12Rβ2鎖とSOCS3は共沈された。IL-12Rβ2鎖細胞内領域のチロシン基の点変異や欠失変異、SOCS3のSH2領域の変異を加えると、IL-12Rβ2鎖とSOCS3の共沈は認められなくなった。ゲルシフトアッセイでSTAT4のDNA結合能について検討すると、SOCS3によってDNA結合は抑制され、SOCS3のSH2変異では抑制されなかった。IL-12による転写調節についてルシフェラーゼアッセイで検討すると、SOCS3により活性が抑制された。 2、IL-12シグナルとJAK2、STAT4タンパクの分解 末梢血リンパ球をIL-12で刺激するとSTAT4のリン酸化が24時間後まで持続し、4時間後よりSTAT4のタンパク量の減少が認められた。ノザーンブロット法ではSTAT4のmRNAの発現量には変化が無かった。プロテアソーム阻害薬で前処置してからIL-12刺激すると、STAT4タンパク量の減少が抑制された。IL-12刺激でリン酸化されたJAK2ウエスタンブロット法を行うと、ユビキチン化が認められた。 【考察】 IL-12シグナルを負に制御する機構として、IL-12Rβ2鎖にSOCS3が会合して、IL-12/STAT4のシグナルを負に制御する機構、及び、IL-12刺激によってリン酸化されたJAK2とSTAT4がユビキチン-プロテアソーム経路を介した分解を受けて負に制御される機構が考えられる。
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