1.再生不良性貧血(再不貧)のうち、HLA-DR15を保有し末梢血中に微小なPNH形質の血球を有する例において、免疫抑制療法に対する反応性がみられた。再不貧患者の末梢血顆粒球のclonalityを検討したところ、主としてPNH血球陰性例にclonalityが確認された。 2.PNH血球陽性の再不貧患者の血清中には、巨核芽球性白血病細胞株UT7の細胞質内蛋白に対する抗体が、間接蛍光抗体法とWestern blot法にて確認された。 3.UT7に対する抗体陽性例の血清にてcDNAライブラリーをスクリーニングして、抗原遺伝子Diazepam binding inhibitors(DBI)-related sequence-1(DRS-1)を同定した。 4.レコンビナントDRS-1蛋白を用いてELISAを行ったところ、PNH血球陽性の再不貧71例中27例(38.5%)に抗DRS-1抗体がみられたが、PNH血球陰性再不貧32例中では2例のみ(6.3%)にしか抗体がみられなかった。 5.定量PCRを用いてDRS-1のmRNAの発現を検討したところ、成熟白血球では発現レベルが低かったが、UT-7やCD34陽性の骨髄造血細胞ではレベルが高かった。 6.DR15上にDRS-1のアミノ酸配列上のCD4 epitope(同配列は、抗体の認識するhot spot 191-204と重なっていた)のペプチドを付加して、抗DRS-1抗体を持つ再不貧患者末梢血T細胞を刺激して得られた細胞障害性T細胞は、DRB1*1501を遺伝子導入されDRS-1を高発現しているL cell(マウス線維芽細胞)のみを選択的に障害した。 7.Enzyme-linked immunospot assayにより、HLA-DR15を保有し抗DRS-1抗体を持つ再不貧患者末梢血中において、このCD4 epitopeに特異的なT細胞が高頻度に見いだされた。
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