研究概要 |
微少残存病変を起因する細胞群として薬剤耐性獲得細胞やCD34陽性細胞等があげられる。まず急性骨髄性白血病(AML)に対する抗体療法の有効性の検討ではAML臨床検体に対するcalicheamicin結合ヒト化抗CD33抗体(CMA-676,Mylotag)の殺細胞効果をCD45,CD33,CD34,P糖蛋白(P-gp),multidrug-resistance-associated protein 1(MRP1)の各発現量および色素取込試験とともに同時解析した。P-gp発現量の多い細胞あるいは薬剤排泄能の高い細胞ではCMA-676の薬剤効果が低下していたが、MRP1発現量との相関関係は認めなかった。CD33+CD34+ AML細胞とCD33+CD34-AML細胞とでCMA-676の効果を比較したとこと、CD34+細胞で薬剤効果の低下を認めた。しかしCD34の発現量と薬剤耐性との相関関係は認められなかった。P-gp発現細胞では耐性克服剤PSC833やMS209を併用することによりCMA-676の抗腫瘍効果の回復を認めた。CMA-676は細胞内に取り込まれcalicheamicinを遊離するが、P-gp発現細胞では他の抗癌剤同様calicheamicinもP-gpにより細胞外へ排出されたと推察された。
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