研究課題/領域番号 |
14570979
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
本田 繁則 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00303959)
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研究分担者 |
白鹿 正通 大阪大学, 医学部附属病院, 医員(臨床研究)
冨山 佳昭 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80252667)
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キーワード | インテグリン / αvβ3 / リガンド結合機能 / 細胞機能抑制効果 |
研究概要 |
インテグリンαvβ3あるいはαvβ5は血管構成細胞や腫瘍細胞に発現しており、血管新生、止血栓形成、腫瘍細胞の増殖・浸潤・転移に重要な分子と考えられている。本研究ではαv鎖の新規機能部位を同定すると共に、機能を欠損したαvインテグリンが誘導する細胞機能抑制機構を解析することにより、血管構成細胞や腫瘍細胞の制御方法の開発を目指している。 【αv鎖におけるリガンド結合部位の解析】 我々はXiongらによる環状RGDfVペプチドとαvβ3の結晶構造解析の報告に基づき、αv鎖内のリガンドに近接する3本のループの構成残基に関して系統的にAlaに置換し、リガンド結合機能への影響につき検討した。これにより、Tyr178に加え、新たにAsp218がリガンド結合に必須の残基であることが明らかとなった。一方、結晶構造解析においてリガンドと塩橋結合していると考えられたAsp150はAla置換により塩橋結合を破壊した状態においてもリガンド結合能を保持していた。また、興味あることにTyr178と立体構造上、対面に位置し、リガンドと近接するAla215を芳香族残基のTyrあるいはPheに置換すると、リガンド結合能の増加を認めた。さらに、Tyr178を他の芳香族残基、Pheに置換してもリガンド結合能は低下せず、TyrのOH基ではなくベンゼン環がリガンド結合に関与(cation-πinteraction)していると考えられた。 【機能欠損インテグリンにより誘導される細胞機能抑制効果の解析】 機能欠損αv鎖(Tyr178Alaαv)の過剰発現は野生型αvβ3を発現させた293T細胞の細胞接着機能を抑制した。このドミナントネガティブ効果誘導のメカニズムを解析するために、αv鎖およびβ3鎖の細胞外領域をCD25に置換したキメラ蛋白を作製した。αvの細胞内領域を有するCD25(CD25/cyto αv)あるいはβ3の細胞内領域を有するCD25(CD25/cyto β3)の過剰発現は同量のベクターのみをトランスフェクションした時に比して、細胞接着機能の抑制効果を示したが、その程度はCD25/cyto β3でより強く認められた。また、同時に測定した内因性(野生型)αvβ3の発現量は明らかな低下を認めなかった。以上より、機能欠損Tyr178Alaαvβ3が誘導する細胞接着抑制効果はαv鎖およびβ3鎖の細胞内領域が関与していると考えられた。
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