研究概要 |
1)骨髄異形成症候群(MDS)23例と急性骨髄性白血病(AML)7例を対象に,multicolor spectral karyotyping (SKY)法を用いて染色体転座を解析した.男性23/女性7例.骨髄穿刺液あるいは末梢血を型のごとく固定し,G染色とSKY法を施行した.SKY法により30例中10例で核型が修正された.SKY法で同定できた異常は,der(5)t(5;17)t(17;19),dup(7)(q22q32),der(16)t(16;17),del(17),der(7)t(6;7),der(17)t(3;17),del(9)(p11),der(5;15),der(11)t(1;11)(q12;q13)t(1;12)(q26;q11),del(12)(q11),del(15)(q10),der(17)t(11;17),t(5;17),der(17)t(17;22),t(2;12;8),t(11;19)である. 2)MDSあるいはAMLの10例について第5染色体長腕の部分欠失(5q-)の切断点を検討した.第5染色体のセントロメア,5q12,5q31.3,5q32,5q33.1を検出できるDNAプローブを用いてdouble-color FISH(DC-FISH)を行った.10例中6例で第5染色体長腕の部分欠失をともなう5q11.2の不均衡転座を検出した.転座相手は第15染色体が2例,第19,12,13,17染色体が各1例であった.第17染色体と転座していた5q-は第19染色体も転座に関与していた.1例ではder(5)t(4;5)(?;q14)が同定できた.残りの3例はいずれも5qの腕内欠失であった. 3)以上,SKY法によって正確な核型診断が可能になった.5q11.2の切断点領域のDNA解析が重要である.
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