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2002 年度 実績報告書

MAPキナーゼ及びカスパーゼを介したエリスロポエチンの抗アポトーシスシグナル解析

研究課題

研究課題/領域番号 14570993
研究機関自治医科大学

研究代表者

森 政樹  自治医科大学, 医学部, 講師 (00337346)

研究分担者 小松 則夫  自治医科大学, 医学部, 助教授 (50186798)
キーワードエリスロポエチン / アポトーシス / MAPキナーゼ / カスパーゼ / Bcl-xL
研究概要

我々は,増殖因子の作用機序のひとつであるアポトーシス制御に注目し,特に赤血球系造血に及ぼすEPOのアポトーシス抑制作用について,EPO依存性ヒト白血病細胞株UT-7/EPO及びヒト胎児血由来CD34陽性造血幹細胞から分化させた赤芽球系前駆細胞を用いて検討し,以下の結論を得た.
1.EPO依存性ヒト白血病細胞株UT-7/EPOはEPO除去後,時問依存性にアポトーシスに陥り,その割合は48時間で18.6%,72時間で32.1%,96時間で41.6%であった.
2.EPO除去で誘導されるアポトーシスにおいて,著明なBcl-X蛋白の発現低下とカスパーゼ3,6,8の活性化を認めた.
3.EPO除去で誘導されるアポトーシスは,汎カスパーゼ阻害剤VAD添加で12.6%にまで抑制できた.
4.EPO添加条件下でもMEK1/2阻害剤UO126 100mM前処置にて38.9%の細胞にアポトーシスが誘導されたが,このアポトーシスはVAD前処理にて阻止された.この時,蛋白レベルでのBcl-XLの発現は増加していた.
5.ヒト胎児血から磁気ビーズ法を用いてCD34陽性造血幹細胞を回収し,EPO,lL-3,SCF存在下に培養,分化させて純化した赤芽球系前駆細胞を採取した.
6.赤芽球系前駆細胞をEPO添加条件で培養しても,UO126によるERK1/2の活性化阻害で40%以上の細胞にアポトーシスが誘導されたが,VAD前処理にてこれが阻止され,蛋白レベルでのBcl-XLの発現は増加していた.
以上より,赤血球系造血における抗アポトーシス作用に関してはMAPキナーゼ経路が重要であり,EPO存在下におけるMAPキナーゼ経路は,Bcl-XLのメッセージレベルでの調節と,下流のカスパーゼ経路を抑制してBcl-XLの蛋自レベルでの切断を抑制する二重の経路により,抗アポトーシス作用を発揮することを明らかにした。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Komatsu, N: "A member of Forkhead transcription factor FKHRL1 is a downstream effector of ST1571 induced cell cycle arrest in BCR-ABL expressing cells"J Biol Chem. 278. 6411-6419 (2003)

  • [文献書誌] Mori, M: "Activation of extracellular signal-regulated kinaze ERK1 and ERK2 induces bcl-xl up-regulation via inhibition of caspase activities in erythropoietin signaling"J Cell Physiol. (in press). (2003)

  • [文献書誌] Mishima, Y: "Leukemic cell-surface CD13/aminopeptidase N and resistance to apoptosis mediated by endothelial cells"J Natl Cancer lnst. 94. 1020-1028 (2002)

  • [文献書誌] Mishima, Y: "New human myelodysplastic cell line, TER-3 : G-CSF specific downregulation of Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase IV"J Cell Physiol. 191. 183-190 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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