研究課題/領域番号 |
14570994
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
諏合 輝子 自治医科大学, 医学部, 講師 (60183844)
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研究分担者 |
遠藤 仁司 自治医科大学, 医学部, 講師 (50221817)
窓岩 清治 自治医科大学, 医学部, 講師 (70296119)
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キーワード | フィブリノゲン / フィブリン / プラスミン / 血管修復 / 創傷治癒 / 血管壁 / コラーゲン / 人工血管 |
研究概要 |
1)血管修復並びに創傷治癒遅延を起こす要因となるフィブリン(Fbn)構造とは:当教室でこれまで研究してきた30数種の異常Fbgの電子顕微鏡によるFbn立体構造の解析などを行い、出血や血栓傾向などの臨床症状を示す異常フィブリノゲン(Fbg)患者の異常分子は、すべて正常Fbnとは構造も性質もかなり異なるFbmを形成することが判明した。また、強いプラスミン抵抗性を持った細いFbn線維からなるメッシュ状の異常Fbnを形成する異常分子を持つ患者は、血栓傾向が高く血管修復や創傷治癒不全を示すことが明かとなった。しかし、細い線維からなるメッシュ構造を形成しても、線維の強度が高い場合やプラスミン抵抗性を持たないFbn線維である場合は、創傷治癒遅延を引き起こさないことから、プラスミンによるFbn網の分解が、血管修復に必須であることが明かとなった。(投稿準備中) 2)血管壁再構築の試み:血管内膜の構造を基本に、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)、種々のタイプのコラーゲン、各種細胞外成分を様々に組み合わせて、三次元構造の疑似血管壁を作成し、血管内皮細胞の接着、増殖能を発揮するのに適しているかを検討した。また、それぞれの立体構造に機械的損傷を与えた傷害モデルで、回復過程を走査電子顕微鏡で観察した結果、HUVECは損傷部位や自身の周囲の環境を"認知"して、形態を保持あるいは変化させ、一定方向に配向して分裂・増殖を行うことが判明した。現在、この"認知"現象の物質的裏付けを、遺伝子工学的手法を中心に解析し、どのような遺伝子が関与しているのか追求している最中である。 3)中口径人工血管作成のための血管構造の基礎知識修得を目的として、マウスの種々の臓器の血管壁構造を走査型電子顕微鏡で観察し、人工血管としては動脈系血管に近い立体構造を持つようにすることが望ましいのかもしれないとの認識を得た。
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