研究課題/領域番号 |
14570994
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
諏合 輝子 自治医科大学, 医学部, 講師 (60183844)
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研究分担者 |
窓岩 清治 自治医科大学, 医学部, 講師 (70296119)
遠藤 仁司 自治医科大学, 医学部, 助教授 (50221817)
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キーワード | 血管修復 / 血栓 / 血管内皮細胞 / フィブリン / コラーゲン / 細胞支持体 / 損傷細胞 |
研究概要 |
血栓は血管損傷部位を血流などの外部環境から保護するという役割以外に、各種炎症性細胞群との相互作用の場を提供して、損傷部位の組織再構築にも深く関わっていると考えられる。 この仮定を証明するためには、長期に血管内皮細胞(EC)が生育できる環境を整える必要があり、まず最初にその培養条件を検討した。従来の培養器具上に培養したECを透過型電子顕微鏡観察すると、プラスチックに接した面のECは、短いmicrovilliが寸詰まり状態で並ぶ異常な構造となっており、内皮下組織を持つために3次元構造支持体上に培養する必要性を認めた。そこで疑似血管壁として検討してきたコラーゲンゲルに様々な因子を混在させてECの培養を行った。その結果、ヘパリン硫酸をを含むペプシン非処理Type IとIVのcollagenからなるコラーゲンゲル上に、低seedind density(1~4x10^4)でECを蒔くと10日でconfluentに達し、以後週1度の培養液交換で細胞の死滅なしに2ヶ月以上生存し、長期培養が可能となった。この培養条件下で、ECに機械的および酵素処理による細胞損傷を加え、その回復過程を走査電子顕微鏡で観察した結果、ECは損傷部位や自身の周囲の環境を"認知"して、形態を保持あるいは変化させ、一定方向に配向して分裂・増殖を行うことが判明した(投稿準備中)。現在、この"認知"現象の物質的裏付けを遺伝子工学的手法を用いてどのような遺伝子が関与しているのかを解析中である。また、この認知を行う細胞内構造体を電子顕微鏡観察で追求している。 一方、こうした損傷モデル系を用いて、損傷細胞上にfibrinが存在すると細胞の損傷回復が早まる傾向が認められたため、種々のfibrin構造を形成する異常フィブリノゲンを利用して、どのようなfibrin構造が損傷からの回復に有効であるか検討中したところ、細いファイバーで内部に空間の多い構造のフイブリンが有効であることが判明した。
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