EGFP-EBVをヒトNK細胞株および健常人より分離したNK細胞に感染させると、NK細胞株の約30%、ヒト末梢血NK細胞の40-60%においてEGFPの発現が認められた。EBV感染48時間後にはNK細胞は変形・巨大化し、一部の細胞は多核となった。EBVの潜伏感染マーカーのEBERsおよび溶解感染マーカーBHLFsを用いたin situハイブリダイゼーション法により、溶解感染でなく比較的特異的に潜伏感染によってNK細胞は細胞の変形・巨大化し、更にアポトーシスが惹起されることが明らかとなった。Cdc2、Cyclin B、Cdc25C等のG2/M移行に重要な細胞周期関連蛋白質の発現量の増加と核への移行、その活性化抑制が示され、フローサイトメーターでG2/M期停止が確認された。PML、SC35、HP1等のnuclear dotを形成する蚕白質群の核内分布パターンの変化は明らかではなかったが、核の構造蛋白質と考えられるlamin、細胞骨格蛋白質のactinおよび・-tubulinの分布は著明に変化し、中心体の数の異常も認められた。 EBV陰性のNK細胞株より樹立した8種類のEBV感染クローン群では実際のNK腫瘍と同様のlatency I型およびII型の両方のEBV関連遺伝子発現パターンが認められた。EBV感染により細胞の大きさが増大し、遺伝子不安定性の指標であるmicronuclei形成が増加していた。更に、EBV感染クローンにおいては抗癌剤への耐性を獲得し、細胞密度の低下、逆に飽和状態においても細胞死が起こり難くなった。
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