研究概要 |
95例の骨髄異形成症侯群(myelodysplastic syndromes, MDS)および21例の白血病化したMDSについて、芽球をBlastretreiver液を用いた比重遠心分離で精製し、芽球表面形質をflow cytometry(CD45 gating)で決定し、サイトスピン標本で芽球の細胞化学を検討した。 結果は以下の通りであった。(1)ほとんどの例で芽球はcommitted myeloid precursorの形質(CD34+CD38+HLADR+CD13+CD33+)を示した。(2)58%の例の芽球はmyeloperoxidase染色陰性であった。したがって、MDS芽球はde novo急性骨髄性白血病芽球に比べ幼若であった。(3)MDS芽球はしばしば幹細胞抗原と成熟血球抗原を同時に発現していたが、T-,B-cell特異抗原の発現はまれであった。(4)成熟骨髄系抗原(CD10,CD15)の発現はlow-risk MDS例に、未熟骨髄系抗原(CD7,CD117)の発現はhigh-risk MDSと白血病化MDS例に有意に多かった。この病型に関連した抗原発現の変化は、病型進展前後で芽球を解析した例でも確認された。(5)芽球がCD7陽性であることは独立したMDSの予後不良因子であった。 現在MDS芽球形質について、さらに詳細な検討を継続中である。
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