研究概要 |
前年度から引き続き、骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes, MDS)および白血病化したMDSについて、芽球をBlastretreiver液を用いた比重遠心分離で精製し、芽球表面形質をflow cytometryで決定した。得られた結果と患者の臨床所見との関連、特に現在広く使用されているMDSの分類との関連を検討した。 今回の我々の結果は以下の通りであった。(1)MDSの芽球は、骨髄の芽球比率が高くなるにつれ未熟な形質を示す確率が高くなる。(2)推計学的には、骨髄の芽球比率5%、10%、20%、25%を境として、芽球がCD7、CD56あるいはCD117を発現する確率が増し、逆にCD10,CD11bあるいはCD15を発現する確率は減少した。MDSの分類(FAB, WHO分類)では、骨髄の芽球比率5%、10%、20%が予後と関連することから、これらの値をカットオフ値として病型分類されている。今回の結果は、これらの予後に立脚した分類に、生物学的な観点から根拠を与えるものであり、芽球形質の解析により、現在のMDS分類をさらに改善できる可能性をも示している。以上の結果は現在論文投稿中である(Ogata et al.Association between phenotypic features of blasts and the blast percentage in bone marrow of patients with MDS)。またMDSに特異的な未熟芽球を検出することにも成功し(裏面工業所有権参照)、この点に関して詳細な検討を進めている。
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