ES細胞を用いたHOX遺伝子関連白血病のモデルシステムの確立 HOX遺伝子群の、MLL遺伝子、及び融合した変異体MLL-AF9遺伝子を、テトラサイクリン反応性プロモーターの下流につないだコンストラクトを作成した。このコンストラクトでは、遺伝子の下流に、internal ribosomal entry site(IRES)でつないだEnhanced GFPの遺伝子が挿入済みなので、GFP遺伝子の発現を調べることで、容易に導入細胞を識別できる。そこでMLL-AF9遺伝子のコンストラクトを、申請者がすでに樹立した親株ES細胞に導入し、G418で選別し、48個のES細胞コロニーをpick upした。Facsを用いてGFPの発現を調べると、テトラサイクリン非存在下でGFPの発現が見られたクローンが16個であった。遺伝子発現が厳格にコントロールされるクローンを選ぶために、テトラサイクリンの存在下、非存在下で培養したES細胞のGFPの発現を検討した。16クローンのうち4クローンがGFPの発現がテトラサイクリンによって厳格にコントロールされていた。最終的にはこのクローンのMLL-AF9蛋白質の発現がテトラサイクリンによってコントロールされているかを調べる必要がある。そこで、MLLに対する抗体を用いて、MLL-AF9遺伝子を強制的に発現させた293T細胞から蛋白を抽出し、ウエスタン法の条件設定を行った。いくつかのコンデションと抗体を試みたところ2つの抗体がウエスタン法に適していることが判明した。現在、この抗体を用いて、ES細胞クローンのMLL-AF9蛋白の発現を検討中である。来年度はこれらのES細胞を用いて、ES細胞から分化した血液細胞での、MLL-AF9あるいはMLL遺伝子の機能を、解析する予定である。
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