研究概要 |
本研究は、ES細胞を用いてHOX遺伝子群の機能解析、さらにその結果をもとに、白血病遺伝子の解析を目的とする。血液細胞は側板中胚葉(lateral mesoderm)から分化してくる。そこで、embryo day7.5の時期に相当すると考えられる、day4の分化したES細胞でのFLK1,E-cadherin,PDGFRαの発現を、それぞれの分子を認識するモノクロナール抗体を用いて、Flowcytometerにて解析した。その結果いくつかの分画に分けられることが判明した。そこで、どの分画がどの中胚葉細胞に対応するのかを調べるために、遺伝子発現をRealtime PCR法を用いて解析した。PDGFRα陽性、FLK1陽性のdouble positive分画が、もっとも未熟なphenotypeを示し、PDGFRα陽性、FLK1陰性の分画がparaxial mesoderm、PDGFRα陰性、FLK1陽性分画がlateral mesoderm特異的に発現する分子を、それぞれ数多く発現していた。これらの分画が中胚葉細胞の子孫細胞へ分化するかを調べるために、それぞれの細胞集団を純化し、そのCell fateをin vitroで解析した。PDGFRα単独陽性からは、骨、軟骨、筋肉細胞が、FLK1単独陽性細胞からは、血管・血液細胞が優位に出現した。したがって、血液細胞はPDGFRα陰性、FLK1陽性分面から分化してくることが示唆された。Hox遺伝子の発現では、PDGFRα陽性、FLK1陰性のparaxial mesoderm分画と考えられる細胞集団で、HoxB1の強力な発現が見られた。しかし、その他のHox遺伝子の発現は、ほとんど観察されなかった。現在、このシステムを利用して、昨年度に作製したMLL-AF9の発現をテトラサイクリンで誘導できるES細胞を用いて、解析する予定である。
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