研究概要 |
LOX1の腎疾患進行における役割を解明するため、動物モデルおよび培養細胞を用いた検討を行っている。今年度は以下のような成果があり、ほぼ当初の計画にしたがって実験が進行中である。 In vivo(動物モデル); 1)5/6腎摘モデルにおいて、腎臓におけるLOX-1の発現が間質を中心に、一部糸球体においても亢進していること、これがAT1受容体拮抗薬で抑制されるが、別の降圧薬ヒドララジンでは同等の血圧低下にもかかわらず抑制できないことを見出し、これらの実験結果の一部を報告した(Ueno et al. Hypertension Res,2003)。現在、二重染色その他の方法、LOX-1発現細胞を特定する作業を進めている。 2)この結果を踏まえ、LOX-1ノックアウトマウスを用いて、種々の負荷(5/6腎摘、AngII投与)による腎障lo害が軽減するかどうかを、野生型と比較検討中である。 In vitro(培養細胞): 1)血管内皮細胞だけでなく、腎臓の線維芽細胞においてもLOX-1遺伝子が発現していること、また、TGF-betaなどのサイトカイン刺激がその発現を亢進させることを新たに見出だした。今後は、その意義を、LOX-1を線維芽細胞を含めた各種腎臓細胞に過剰発現(おもにアデノウイルスを用いる)させ、リガンド(酸化LDL)の存在下および非存在下にて、細胞の機能変化と細胞内情報伝達系の動きを検討することにより明らかにしてゆく予定である。
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