研究概要 |
近年、心臓血管系組織においては組織レニン-アンジオテンシン系が循環系とは独立したものとして、主要な役割を担っていることが明らかとなりつつある。しかし組織局所のアンジオテンシンI産生のメカニズムは明らかでない。特に腎外組織から産生されるプロレニンが腎におけるのと同様、レニンに活性化されるか否かは不明である。これまでプロレニン活性化酸素としては、マウス顎下腺の顎下腺型レニン(REN-2)対してglandular kallikrein (PRECE)が同定されている。またヒトではCathepsin B, PC1/3,PC5/6などが候補として挙げられているが、プロレニンに対する活性が十分強くないことや、発現部位の問題などの点からヒト腎臓の真正プロレニン活性化酵素であるとは考えにくい。本研究は、近年新たに形成されたプロホルモン活性化酵素遺伝子ファミリーに的を絞り、subtractive cloning法にdegenerate primerを用いたPCR法を併用することにより、腎臓に特異的な酵素を新たに単離しようという試みである。現在、腎臓組織として、培養メサンジウム細胞、腎癌のため摘出された腎臓の正常部位のRNAを調整中である。プロホルモン活性化酵素遺伝子ファミリーにおいて、セリンプロテアーゼとしての活性の保持に重要であると考えられているアミノ酸配列に対応するdegenerateしたオリゴヌクレオチドをプライマーとして作製しており、subtractionすべきRNAとしてPC1/3およびPC2は大量に発現するがレニンはあまり発現していないと考えられる組織としてインスリノーマの入手手続き中である。
|