研究課題/領域番号 |
14571021
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
木村 秀樹 福井医科大学, 医学部, 助教授 (20283187)
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研究分担者 |
藤井 博 新潟大学, 医学部, 助教授 (90165340)
吉田 治義 福井医科大学, 医学部, 教授 (80135574)
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キーワード | PPAR / Lipid-binding protein / bile acid-binding protein / PPAR knockout mice / PAI-1 / renal tubular cells / reporter assy |
研究概要 |
1.ヒト・マウス正常腎組織でのLipid-binding proteins (LBP)、PPAR、FXRの検討 LBP(特にbile acid-binding protein (BABP)、PPAR、FXRのヒト、マウス正常腎組織内での発現を検討した。免疫染色では、BABP、FXRについては、ヒト・マウスとも近位尿細管細胞に陽性染色が観察された。また、PPAR-αは近位尿細管細胞にPPAR-γは近位と遠位尿細管細胞に存在した。BABP、FXR、PPAR-α、γについては、マウス腎においてRT-PCR法でmRNAの発現を確認した。 2.PPAR-a欠損マウスの確保と腎組織における表現型の観察 米国のJackson LabよりPPAR-α欠損マウスを購入し、繁殖させた。PPAR-α欠損を遺伝子マーカーで確認し、また、1-3日間の飢餓により、急速に脂肪肝を呈する特徴的な表現型を確認した。また、新たに、飢餓処理で、腎近位尿細管にも脂肪沈着が確認され、脂肪酸の酸化遅延とATP産生低下が推測された。 3.培養腎細胞でのLBP、PPAR発現の検討とPPAR活性の確認 (1)ヒトの培養近位尿細管上皮細胞(三光純薬社より購入)において、肝型と心筋型fatty acid-binding protein (FABP)、PPAR-α、γの発現を検討した。Western blot法では、肝型FABPとPPAR-α、γが検出されたが、心型FABP、BABPは検出できなかった。 (2)同培養細胞では、炎症性サイトカイン(TNF-aなど)でplasminogen activator inhibitor-1 (PAI-1)の産生が増加することを発見した。また、腎組織の炎症が強い症例では尿中PAI-1の上昇が認められた。PAI-1増加は、plasmin活性を抑制することで細胞外基質の蓄積に関与すると推測された。PPAR-α活性化薬(フェノフィブラート)は100μMの濃度で同細胞のPAI-1産生を約30%抑制し、同細胞に対して抗炎症作用を有することが示された。 (3)PAI-1の転写領域にはNFkBやAP-1が存在し、.炎症性サイトカインのシグナルが作用するため、今後はPAI-1転写領域を含むルシフェラーゼアッセイを用い、PPAR活性化試薬により同培養細胞の炎症性シグナルが実際に抑制されるか否かを検討する。また、PPAR結合部位(PPRE)を転写調節領域に含むルシフェラーゼアッセイを用い、同細胞のPPAR活性が実際に誘導されるか否かを検討する。
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