研究課題
・蛋白尿モデル腎近位尿細管発現遺伝子データベースから正常近位尿細管に発現を碍めないが、病態モデルにおいて発現増加を認めた遺伝子群約500クローンについて発現量の多いものから順次、解析を進めている。現時点では下記の成果を得ている。近位尿細管における蛋白尿による発現誘導が確認された脳特異的発現が報告されているGlia Maturation Factor(GMF)に関してはパーマネント遺伝子発現系を近位尿細管細胞および線維芽細胞において複数ライン構築した。これらの細胞株は細胞形態の変化、F-actinの重合化、細胞のアポトーシス等、共通の変化を来す。神経細胞系以外におけるGMF発現増加が一般的にこれらの変化をもたらす可能性を検討する為、線維芽細胞株NIH3T3細胞にGMF-Bを強制発現した。結果、同様の変化を認め、該遺伝子の神経系以外での発現では、神経系細胞における機能とは異なった共通の変化を細胞にもたらすことが明らかとなった。病態モデル近位尿細管における遺伝子発現パターンの解析より、pre-inflammatory factorによって制御される遺伝子群の発現増加を認めている。既に、in vitro系においてサイトカイン受容体下流の細胞内情報伝達系がサイトカイン刺激とは独立して直接活性化されている可能性を見出している。そこで詳細な情報伝達経路および活性化の機構に関し、解析を加えた。結果、近位尿細管培養細胞においてアルブミン負荷によりサイトカイン刺激伝達系のJak/STAT系が速やかに活性化する事が明らかとなった。Jak2およびStat1およびStat5が刺激15分以内に活性化するがStat3活性には変化が認められない事を見いだした。
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