研究概要 |
以前からの動物実験の経過から、マウスにおける阻血性急性腎不全モデルを作成する上で、マウスの体温コントロールが極めて重要であり、それによって初めて安定した腎障害が得られるようになる。そのため恒温プレートを購入し、全体を39℃に保った状態で腎の阻血を行い、組織障害を生じさせた。この操作によって比較的安定した腎障害を呈するようになったため、阻血35分後の再還流時系列での腎臓組織を作成した。 Sham手術、阻血後0,1,2,4時間で腎臓を摘出し、RNAを抽出した。それぞれのRNA1μgからRT-PCRを行い、semi-quantitive PCRでRNAの発現変化を測定できるようにした。このような条件下でも、cysteine rich protein 61 (CYR61,CCN1)やHeparin Binding Protein like Epithelial Growth Factorは阻血後再還流を始めると急激に上昇していることが確かめられた。 安定した阻血性急性腎不全モデルが作成されるようになったので、Sham手術、阻血後0,1,2,4時間で腎臓を摘出し、RNAを抽出した。以前からの蓄積されたデータを利用して、これらのサンプルが同様の変化を生じているかを確かめてみた。その結果CYR61やHBEGFの上昇が確認され、動物実験系を利用可能になった。 α-MSHの効果についてはまだ、安定した結果が得られていない。これはα-MSHが13個のアミノ酸からなるペプチドであり、突気中の水分の存在ですぐに失活してしまうためと思われた。どの会社の試薬が最良か、どのような保存方法が一番安定しているかを早急に検討する必要が生じている。
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