研究概要 |
今年度は6分の5腎摘後に、高リン食で飼育し作成した2次性副甲状腺機能亢進症モデルラットを使用し、以下の研究を行った。 1.副甲状腺細胞増殖とvitamin D receptor (VDR), Ca sensing receptor (CaR)メッセージ・タンパク発現の関連 2.上記変化に付随する、cyclin/cyclin dependent kinase inhibitor(増殖抑制因子)及び増殖因子の経時変化 3.同モデルにCaR agonistを投与した際の、VDR, CaR発現と増殖の経時的変化 4.腫大したラット副甲状腺に活性型ビタミンD製剤を直接注入した際の、副甲状腺細胞、及びVDR, CaRの変化 その結果、1.Ki-67,PCNAにより判定した副甲状腺細胞増殖に伴いVDR, CaRは減少し、とくにCaRの減少は増殖後に出現した。 2.高リン食負荷後早期に増殖抑制因子(P21)は減少し、増殖促進因子(TGF-α)は増加した。これらの変化は、1.で示した細胞増殖、CaRの変化に先立って認められた。 3.CaR agonist(R-568)の投与で、副甲状腺細胞増殖により減少していたCaRは増加するとともに、細胞増殖も軽減した。 4.活性型ビタミンD直接注入により副甲状腺細胞の一部にapoptosisが誘導され、副甲状腺細胞のVDR, CaR発現は増加した。 以上の研究から、2次性副甲状腺機能亢進症の発症・進展に及ぼすリン負荷(高リン血症)の意義と、それに対するCaR刺激、活性型ビタミンD大量投与の治療的意味が明らかとなった。
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