研究概要 |
今年度は6分の5腎摘後に高リン食で飼育し作成した2次性副甲状腺機能亢進症モデルラットに対し、1)Ca sensing receptor (CaR) agonistであるcalcimimetics経口投与と、2)活性型ビタミンDアナログであるmaxacalcitolの副甲状腺内直接注入を行い、完成された2次性副甲状腺機能亢進症に対する上記2治療のPTH分泌,副甲状腺組織、副甲状腺重量に及ぼす影響を検討した。本治療モデルは、昨年の2次性副甲状腺機能亢進症形成過程に活性型ビタミンDやCaR agonistを投与して治療的修飾を加えるのではなく、臨床的に問題となる完成した2次副甲状腺機能亢進症に対する両治療の効果と機序を解明するものである。 その結果、1.CaR agonistの投与により、PTHは著明に低下したが、血清Ca, P値には有意の変動を認めなかった。 2.腫大した副甲状腺で発現の減少していたCaR, vitamin D receptor (VDR) mRNAの発現は増加し、副甲状腺細胞における両受容体の免疫染色も有意に上昇した。 3.PCNA染色で評価した副甲状腺増殖は抑制され、増殖抑制はCaR発現の増加に先立って出現した。 4.増加していた副甲状腺重量は有意に減少した。 5.Maxacalcitolの副甲状腺内直接注入により、PTH,副甲状腺細胞のPTH mRNAは著減した。 6.副甲状腺CaR, VDRのmRNA,免疫染色は増加し、これら受容体のupregulationがみられた。 7.副甲状腺増殖は抑制され、副甲状腺細胞のapoptosis誘導が確認され、副甲状腺重量は減少した。 以上の研究から、完成した2次性副甲状腺機能亢進症に対するCaR agonist投与、ビタミンDアナログ副甲状腺内直接投与の効果と作用機序が明らかとなった。
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