BUF/Mna系ラットは巣状糸球体硬化症によるタンパク尿を自然発症する。Fine QTL mappingとsynteny解析の結果、補体制御因子DAFのrat homologueが、ラット第13番染色体上に存在するタンパク尿発症感受性遺伝子Pur1 QTL内に存在し、さらには、DAFの239番目のチミンがシトシンに置き換わっているsingle nucleotide polymorphism on cDNA (cSNP)がBUF/Mna系ラットに存在することが判明した。[BUF/Mna×WKY/NCrj] F1×BUF/Mna退交配ラツト167匹(cf各個体のタンパク尿は定量済み)のDNAサンプルを得た。各個体のcSNP解析の為には、RT-PCR法にて上記変異部位を含む約300bpのcDNA fragmentを安定して得る必要があるが、平成14年度の時点で不安定であった。RT-PCRの条件再設定にて、平成15年度の時点では安定してcDNA fragmentを得ることに成功するも、cSNPとタンパク尿発症との相関関係に関しては現時点で解析が終了していない。一方、DAFのrat homologue領域を含むBUF/MnaのPur1 locusをWKY/NCrjにtransferしたcongenic ratを樹立し、片腎摘出後における病理組織像、及び、尿タンパク排泄量に関する解析を終了した。片腎摘出後、3ヶ月後、9ヶ月後の時点で巣状糸球体硬化症スコアが有為に高くなっており、3ヶ月後、6ヶ月後、9ヶ月後の各時点で尿タンパク排泄量が有為に増加していたので、DAFのrat homologue領域を含むBUF/MnaのPur1 locusは生物学的にも巣状糸球体硬化症発症能を有していた。
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