骨髄細胞による糸球体構成細胞の再構築について (目的)骨髄由来細胞により糸球体構成細胞が再構築され得るか、さらに糸球体病変の改善に骨髄由来計細胞が関与しているかを検討した。 (方法)GFP-transgenicマウスおよび正常C57BL/6j(H-2b)マウスよりlgA腎症自然発症(HlGA)(non-H-2b)マウスへ放射線照射後に骨随移植を行った。移植後32週後にキメラマウスの抹消血リンパ球および骨髄細胞におけるH-2bあるいGFP染色性をFACSにて解析し、レシピエントの骨髄細胞がドナー細胞に完全に再構築された時点で腎組織学的検討を行った。 (結果)H-2b陽性C57BL/6jマウスでは糸球体にH-2b陽性細胞を認めたのに対し、H-2b陰性HIGAマウスではH-2b陽性細胞は認められなかった。一方、(C57BL/6→HlGA)キメラ群では、糸球体内に浸潤細胞のみならずH-2b陽性細胞を認めたことより、C57BL/6ドナー由来の骨随細胞によりHIGAマウスの糸球体構成細胞の一部が再構築された可能性が示唆された。さらに(GFP→HlGA)キメラでは糸球体内GFP陽性細胞数と免疫グロブリン(lg)沈着の程度は負の相関を示し、GFP陽性細胞が局在する部位ではlg沈着程度は軽減していた。なお糸球体内GFP陽性細胞はマクロファージおよび好中球の細胞マーカー陰性であった。 (結語)骨髄由来細胞により一部の糸球体構成細胞が再構築され、骨髄由来糸球体細胞が糸球体病変の改善に関与している可能性が示唆された。
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