研究課題/領域番号 |
14571046
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上妻 志郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (10272569)
|
研究分担者 |
丸茂 元三 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (60282646)
菊池 昭彦 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10280942)
藤井 知行 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40209010)
|
キーワード | 脳傷害 / 心機能 / 臍帯圧迫 / 羊 / 胎児 |
研究概要 |
臍帯圧迫が心機能を低下させることにより、脳の低灌流を引き起こし、脳障害を発生するという仮説に基づき、臍帯圧迫が胎児心機能に及ぼす影響について研究を行った。 妊娠130日の雌ヒツジ(妊娠期間145日)11頭を用いて手術を行った。胎仔の大腿動脈に5Frカテーテル、下大静脈へ5Frバルーンカテーテルを留置した。左総頚動脈より6Frコンダクタンスカテーテル(3S-RH8DN-116)を左心室腔に挿入し、その内腔に圧センサー付2Frカテーテルを留置した。 臍帯圧迫は完全臍帯遮断を60秒間を5回、90秒間を5回、120秒間を5回行った。実験中胎仔心室内血圧(最大値をPmaxとする)、左心室容積(拡張末期容積をEDVとする)、心拍数(HR)を経時的に記録し、PVLoopsよりEes(収縮末期圧容積関係の勾配)、Eed(拡張末期圧容積関係の勾配)、SV(一回拍出量)、CO(心拍出量)、dP/dtmax(最大圧変化率)、Ea(実効動脈エラスタンス)を計測し、圧迫実験開始前(コントロール値)と比較した。 臍帯圧迫中には一回心拍出量の有意な低下を認めた。また、圧迫していない時期には、臍帯圧迫の増強により心拍数、心筋収縮力は増加し、一回拍出量は維持されたが、更なる圧迫の増強により一回拍出量は有意な低下を示した。本研究により反復臍帯圧迫に伴う胎仔心臓ポンプ機能の変化とその過程が明らかとなった。臍帯圧迫は一回拍出量を圧迫中に低下させるだけでなく、圧迫解除後でもアシドーシスを進行させることにより低下させる。これが脳循環に影響を及ぼすことにより、臍帯圧迫は脳障害発生と関連を持つことが示唆された。
|