研究課題/領域番号 |
14571048
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胎児・新生児医学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
竹島 泰弘 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40281141)
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研究分担者 |
横山 直樹 神戸大学, 大学院・医学研究科, 助手 (20314487)
常石 秀一 神戸大学, 医学部附属病院, 助教授 (10271040)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 胎内発育遅延 / IUGR / Insulin-like growth factor / IGF-1 / 髄鞘化 / MBP / PLP |
研究概要 |
妊娠母獣の食餌制限(胎齢17〜20日)に生後の仔への哺乳制限(日齢0〜7)を加えた強力な栄養制限により、髄鞘構成蛋白の発現抑制を認めるモデルの作製に成功した。体重増加曲線からは、出生時から日齢20まで有意な体重差が存在し、哺乳制限解除後のcatch-upは十分ではなかった。 この強度なIUGRモデルにおいて、髄鞘化へのIUGRの影響を検討するために、髄鞘構成蛋白であるMBPとPLPの蛋白発現を検討した。大脳、小脳ともにMBPでは一時的な発現低下が生後12日目に認められたが、体重の回復が不十分であるにもかかわらず、MBPの発現量は生後15日目には対照群レベルにまで回復していた。これは、低栄養下におけるbrain sparing効果と言える。子宮内での発達がより進んでいる小脳での影響は強く、生後の回復も早かった。生命維持の面で重要な線条体での発現抑制はほとんど認められなかった。 IUGRの影響がMBPとPLPで異なる点も興味深い。低栄養にてMBPでは生後12日目に大脳で58%、小脳で41%まで発現抑制が認められた反面、PLPでは発現抑制は全く認めず、逆に大脳で279%、小脳で249%との発現促進を認めた。髄鞘構成蛋白としてPLPは進化上より原始的で低栄養の影響が出現しにくく、逆に発導亢進となることが考えられる。しかし、同じ髄鞘構成蛋白であるMBPとのアンバランスが、適時適所の髄鞘化に悪影響を及ぼすことも懸念され、このことがIUGRの精神運動発達に影響する可能性が考えられる。 生後12日目のMBP発現抑制に対して、成長因子であるIGF-1の生後7日目の脳室内直接投与の影響を検討したところ、大脳ではIGF-1 5μgの投与でIUGRによる発現抑制は完全に補完され、対照群と同等レベルへ回復させることができた。IGF-1の髄鞘化促進作用をIUGRモデルのもと確認できた。
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