研究課題/領域番号 |
14571050
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
三木 崇範 香川医科大学, 医学部, 助教授 (30274294)
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研究分担者 |
宮武 良輔 香川医科大学, 医学部附属病院, 助手 (50301320)
日下 隆 香川医科大学, 医学部附属病院, 講師 (50274288)
松本 由樹 香川医科大学, 医学部, 助手 (90335844)
竹内 義喜 香川医科大学, 医学部, 教授 (20116619)
伊藤 進 香川医科大学, 医学部, 教授 (80145052)
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キーワード | 周生期ストレス / 海馬神経細胞 / 脳発達 / 母性剥奪 / 母子間相互作用 |
研究概要 |
出生後早期のストレス曝露が、その後の子供の成長や脳の発達の与える影響について解析し、現代社会において深刻な問題になっている社会不適応現象について神経科学的方法でアプローチした。平成14年度は、次年度の遺伝子レベルでの解析への布石として、周生期ストレス曝露の脳への影響を、遺伝子最終産物-蛋白-レベルで検討することとし、形態計測を行った。 1.母性剥奪症候群(Material Deprivation Syndrome, MDS)モデル動物の作製 Wistar系ラット新生仔を10日齢から15日齢まで6日間連続、1日あたり3時間、母獣から引き離した(母性剥奪/母子分離)。 2.胎児性アルコール症候群(Fetal Alcohol Syndrome, FAS)モデル動物の作製 新生仔期のストレス曝露モデルとして、MDSモデル動物に加えて、10日齢から15日齢まで6日間連続1日あたり3時間アルコール蒸気に曝露した(血中アルコール濃度;約430mg/dL)。 これらのモデル動物を16日齢と30日齢において海馬の神経回路網形成への影響を組織定量技術(ステレオロジー)を用いて解析した。MDSモデル動物においては、組織定量できうるパラメータとして、海馬神経細胞に差異(対照動物に比べて)を認めることは出来なかった。FASモデル動物においては、海馬歯状回門において、16日齢では体積と神経細胞の減少を認めたが、30日齢までにはこの減少を認めなかった(catch-up growth/developmental delay)。一方、錐体細胞は、錐体細胞は、いずれの日齢においても有意に減少していた。 以上の結果は、FASモデル動物においては、新生仔期早期のストレスは、海馬神経細胞数の減少を惹起し、その結果海馬のローカルネットワークの形成と発達に影響を与えることを示唆している。しかしながら、MDSモデル動物においても、RNAレベルでは同様な変化が見られることが予想される。次年度以降はRNAレベルでの解析を進める予定である。
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