研究課題/領域番号 |
14571050
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研究機関 | 香川大学(医学部) |
研究代表者 |
三木 崇範 香川大学, 医学部, 助教授 (30274294)
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研究分担者 |
渡邊 岳海 香川大学, 医学部附属病院, 助手 (50304598)
日下 隆 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (50274288)
松本 由樹 香川大学, 医学部, 助手 (90335844)
竹内 義喜 香川大学, 医学部, 教授 (20116619)
伊藤 進 香川大学, 医学部, 教授 (80145052)
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キーワード | 周生期ストレス / 海馬 / 脳発達 / 母仔分離 / BDNF mRNA / Real-time PCR / 可塑性 |
研究概要 |
申請者らのこれまでの研究では、新生仔期のストレス曝露の方法としてまず、(1)より強度なストレスとしてアルコール曝露、次いで、(2)母子分離によるストレス曝露の2段階でのストレス曝露のストラテジーをたてた。これまでアルコール曝露による、神経細胞の脆弱性に関する知見を得て学術論文に数多く発表している。本年度は、母子分離ストレスモデルの作成から始まり、脳下垂体重量や海馬に発現するBDNF (Brain Derived Neurotrophic Factor)の定量解析を行った。 (1)母仔分離モデル動物の作成 Wistar系ラット、脳の発達の時期10〜15日齢まで、1日あたり3時間、母仔分離したモデル動物を作成する。この作成にあたっては、先行報告にみるような、長時間に亘る分離(例えば12時間、或いは24時間分離)においては、仔の栄養状態に影響が出るため、本実験では1日3時間の分離とした。更に、第1段階の実験で得た基礎データから推測してこの時期・期間の分離でモデル動物の作成が可能と判断した。 (2)体重と下垂体重量 母子分離されたラットの体重は、コントロールに比べて有意な変化を示さなかったが、下垂体は、低い値を呈した。 (3)BDNF mRNA発現量の定量解析 コントロール群においては、BDNF mRNAの発現量は、16日齢-20齢-30日齢-60日齢間で有意な変化を示さなかった。一方、BDNF mRNAをreal-time PCRにて発現定量を行ったところ、分離直後の16日齢で、BDNF mRNAの発現量が減少していた。しかし、経時変化的には、その後コントロール群にcatch-upした。 以上の結果は、脳発育期とくに離乳前の母仔分離によるストレスで、BDNFの発現量に変化が見られることが明らかになった。この変化は、神経細胞の発育が、厳密なタイムスケジュールに沿って進行していることを鑑みると、このような変化が、微細構造変化・レセプターレベルでの変化を惹起し、脳発育・発達傷害につながることを示唆している。
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