研究概要 |
1.当院で経験した新生児の播種性血管内凝固(DIC)の臨床的解析を行なった。凝血学的検査成績から大きく2群に分けられることが明らかとなった。ひとつは新生児仮死になど低酸素血症に起因し発症する群、他の一つは敗血症に起因し発症するものである。前者は低フィブリノゲン血症が見られるが、後者は高フィブリノゲン血症でFDPや-Ddimerが高値を示す。病態を制御する機構の違いを示していると考えられる。また、新生児DIC治療薬としてFOYに加えて、Futhanの効果を報告した。更に後者でのFVIIaの関与を示した。 2.FVIIaは、生理的には止血機序の鍵をにぎる重要な凝固因子である。その作用機序についてTEGを用いて示した。また、FVIIaの作用に微量のXの存在の必要性を示した。さらにFVIIaがウロキナーゼ存在下で線溶促進作用が存在することを明らかにした。 3.新生児臍帯血中のフォン・ヴィレブランド因子切断酵素(VWF:CP)活性を測定した。成熟児では健康成人の50%程度が存在した。早産児ではさらに低下し25%前後で、VWFマルチマー解析でも成人のVWFマルチマーよりさらに高分子のVWFマルチマーが存在した。1,2,3の論文は現在投稿中である。 4.新生児のTAFI抗原量の測定系が確立した。
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