研究課題/領域番号 |
14571056
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
山村 英司 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90230531)
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研究分担者 |
高橋 一浩 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50338969)
中澤 誠 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (10075567)
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キーワード | 低酸素暴露 / 肺高血圧 / NO合成酸素 / シルデナフィル |
研究概要 |
出生直後の生理的肺高血圧の時期から窒素混合記を用いた低酸素環境にいれ、肺高血圧を遷延させることができることを確認した。方法は肺高血圧を示す右室壁重量と左室壁重量の比率で判定した。心室重量比の平均はは通常の空気中での飼育した群で0.32であった。低酸素暴露では平均0.39と明らかな右室重量の増加が認められた。これらに対して肺組織から抽出したRNAをcDNAに転換し、RTPCR法を用いてNO合成酵素のeNOS(NOS-2)とiNOS(NOS-3)を測定したところ、通常の空気で飼育した群ではほとんど発現が見られなかったのに対して、明らかな発現が認められた。そこで、肺動脈拡張作用のあるフォスフォジェステラーゼV型の阻害薬であるシルデナフィルを用いて、低酸素による肺血管収縮の持続作用を阻害した実験を行った。心室重量比はシルデナフィルを投与した群では平均で0.33と通常の空気で飼育した群とほぼ同様の結果であり、シルデナフィルにより肺血管が拡張し肺高血圧が改善されたことが確認された。その肺組織からのRTPCRではNOS-2の発現がシルデナフィルを使用しなかった低酸素暴露の肺組織に比べて約11分の1に、NOS-3は6分の1に減少していた。以上のことからシルデナフィルはNO代謝系を介さずに直接血管に作用して拡張作用を発揮することと、NOSの発現が血管収縮の結果であることが判明した。さらに通常の空気で飼育した群にシルデナフィルを用いると心室重量比がさらに低下し0.27となったことから、NOSの影響のほとんどない(発現の少ない状態)に対してさらに肺血管を拡張させていることもわかった。以上のことから新生児遷延性肺高血圧症や、新生児期先天性心疾患の肺高血圧による低酸素状態に対してNOとシルデナフィルは相補的に働く可能性が示唆された。
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