Tat-binding protein-1 (TBP-1)は、甲状腺ホルモン受容体(TR)のDNA結合領域に結合し、T3によるリガンド依存性転写活性化を増強する転写共役因子である。TBP-1の生体内における機能を解析する目的でトランスジェニックマウスを作成するにあたり、まずTBP-1のATPase domainの変異体が野生型TBP-1のdominamt negative体として機能するか、transient transfection法を用いて検討した。また、ヒト組織におけるTBP-1の発現ならびに各種細胞株におけるTBP-1の発現をNorthern Blot法にて解析した。TBP-1はTR特異的なコアクチベーターとして機能することを報告したが、今回TBP-1がアンドロゲン受容体(AR)のコアクチベーターとして機能する事を新たに見出した。TBP-1に結合する蛋白としてTBP-1-interacting protein (TBPIP)をクローニングし、両者が相乗的にTRやARによるリガンド依存性転写活性化を増強することを見出した。また、TBP-1による転写増強がhistone acetyltransferase (HAT)活性を介したものか否か、内因性HAT活性を有するp300/CBP associated factor (P/CAF)のdominant negative体存在下で検討した結果、TBP-1による転写増強作用はHAT活性とは別の機序による可能性が示唆された。以上の基礎的解析に基づいて、組織特異的にTBP-1を発現させるトランスジェニックマウスを作成すべき、現在ベクターを作成中である。
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