野生型マウスおよびTRHノックアウトマウス(TRHKO)の小脳よりmRNAを抽出し、subtractive hybridizationならびにcDNA microarray法を用いて、TRHKOで発現が低下している遺伝子群を同定した。その中から、活性ペプチドを分泌する候補の一つとしてmDP1というクローンを同定した。このmDP1は、75アミノ酸のペプチドで、18アミノ酸からなるシグナルペプチドに続く配列のなかには、アルギニン・アルギニン、リジン・リジンなどのプロホルモン切断部位のコンセンサス配列が認められ、それぞれ35および9アミノ酸のペプチドが切り出されることが予想された。 そこで、今年度は、これら2種類ののペプチドに対して、家兎を免疫しポリクロナール抗体を作製し、ELISA系にて経時的にその抗体量を測定し、力価の高い抗体を得た。 さらに、ノックアウトマウスの作製並びにプロモーター領域の解析のため、mDP1cDNAをプローブとしてmDP1遺伝子を含むBACクローンを得た。種々の制限酵素にて消化後、Southern解析を行い、mDP1遺伝子を含むフラグメントを同定し、マウスmDP1遺伝子を得た。その結果マウスmDP1遺伝子は、5個のエクソンからなり、全長約28kbの遺伝子であり、分泌ペプチドをコードする領域は第4並びに第5エクソンの一部でコードされていることが判明した。
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