研究概要 |
核内受容体COUP-TFが副腎皮質におけるステロイド産生に重要な役割を果たしていることを現在までに示しており、その分子機構を明らかにするために副腎腫瘍cDNA libraryを用いて、COUP-TFI-interacting Proteinsのスクリーニングを行い、SUMO-1 conjugating enzymeであるUbc9を同定することに成功し、その機能解析を進めた。 1.COUP-TFIとUbc9の蛋白-蛋白相互作用の特異性の検討 各種欠失変異体を作製して、Yeast two-hybrid assay, in vitro GST-pulldown assayおよびcoimmunoprecipitation assayを用いて検討したところ、COUP-TFI蛋白質のC末端のamino acids378-423のドメイン(AF2 core)と、Ubc9蛋白質のC末端のamino acids59-158のドメインが相互作用を示すことが明らかとなった。 さらに、Ubc9のSUMO-1結合活性を消失させる点突然変異体Cys93Serを作製したところ、COUP-TFIとの相互作用には影響を及ぼさなかった。 2.COUP-TFI転写活性に及ぼすUbc9の影響の検討 COUP-TFI応答性レポーター遺伝子を用いたtransient transfection assaysを行ったところ、COUP-TFIによりnegativeに調節されるレポーターに対してはcorepressorとして、一方、NHE-1,NGFI-AなどCOUP-TFIによりpositiveに調節されるレポーターに対してはcoactivatorとして機能することが明らかとなった。また、これらのcoregulatorとしての機能にSUMO-1結合活性は必要ないことも明らかとなった。 3.COUP-TFIおよびUbc9蛋白質の細胞内局在の検討 EGFP-Ubc9,DsRed-COUP-TFIを作製して、COS-1細胞に発現させて顕微鏡にて解析したところ、COUP-TFI蛋白は核内にdot形成をして局在を認めたが、Ubc9蛋白は細胞質と核内の両方に局在を認め、核内では共存していることが明らかとなった。 以上の結果をふまえて、さらにCOUP-TFI, Ubc9による副腎皮質ステロイド産生に及ぼす影響を来年度以降も継続して研究していく予定である。
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