研究概要 |
【目的】Urotensin II(UT II)は受容体GPR-14を介して強力な心臓・血管収縮作用を発現するが、その生理的役割の詳細は不明である。急性および慢性ストレス時の組織UT II、GPR-14の動態を検討した。【方法】雄性WKY/Izmの頚静脈からの脱血ストレスあるい10分間の拘束ストレス後、心臓、副腎、大動脈を摘出し、UT II、GPR-14 mRNA発現を検討した。慢性ストレスモデルとしてSHR-SPを用い、心臓組織中UT-II、GPR-14 mRNA発現を正常血圧ラットと比較し、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の影響を検討した。更にUT-IIの慢性的影響を検討するため、ラットに浸透圧ポンプを用いて4週間にわたり皮下投与し、血圧、ET-1mRNA発現に及ぼす影響を検討した。【結果】脱血ストレスにより副腎UT-IIとGPR-14 mRNA発現、心臓GPR-14 mRNA発現の増加を認めた。拘束ストレスにより、副腎UT-II mRNAとGPR-14 mRNAの増加を認めた。副腎UT-IIとGPR-14はいずれもcapsular portionで有意に増加し、decapsular portionでは著変を認めなかった。左室UT-II mRNA発現の増加を認めたが、右室では著変を認めなかった。心臓GPR-14 mRNAは不変であった。大動脈UT-II, GPR-14 mRNAは著変なかった。SHR-SPはWKYと比較し心臓GPR-14 mRNA発現は有意に減少を示し、ARB投与により増加を認めた。UT-IIの慢性投与では血圧、心臓組織中のET-1 mRNA発現には有意な変動を認めなかった。【結論】副腎、心臓におけるUTII/GPR-14系はパラクリン様式にて生体のストレス応答に重要な役割を担う事が示唆された。
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