研究課題/領域番号 |
14571078
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
南 史朗 日本医科大学, 老人病研究所, 教授 (10192361)
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研究分担者 |
今城 俊浩 日本医科大学, 老人病研究所, 助教授 (50183190)
中田 朋子 日本医科大学, 老人病研究所, 助手 (50237294)
笠木 陽子 日本医科大学, 老人病研究所, 助手 (00343591)
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キーワード | 成長ホルモン / フィードバック調節 / STAT / SOCS / ソマドスタチン / 性ステロイド |
研究概要 |
成長ホルモン(GH)が視床下部に作用して自己の分泌を調節する機序がある。ラットを用いた実験により、GHの静脈内投与に応じて視床下部の弓状核NPYニューロンと室周囲核ソマトスタチンニューロンにc-fosの発現が誘導されること、これらの部位へGHを局所微量投与するとGH分泌が抑制されることなどが明らかとなり、GHのオートフィードバック系の存在が具体的に示された。また、ジヒドロテストステロンの視索前野への局所微量投与は卵巣摘除ラットのGH分泌パターンを雄型に移行したことから、拍動性GH分泌の雌雄差をもたらすアンドロゲンの作用部位は視索前野であることが示唆された。 GHは視床下部細胞においてSTAT5、MAPKのリン酸化を促進し、ネガティブレギュレーターであるCIS、SOCS3の転写を弓状核・室周囲核に誘導した。この点では、視床下部細胞でもGH細胞内シグナル伝達の一部には肝細胞と同様の系の活性化による機序があると考えられる。これらは性ステロイドによる修飾を受けてGH分泌の雌雄差の一因となる可能性も考えられる。卵巣摘除した下垂体摘除ラットにエストロゲンを2週間投与したところ、視床下部のGHによるSTAT5bのリン酸化は抑制された。さらに、GHは視床下部細胞では神経修飾物質として働くことが考えられ、末梢作用とは異なった細胞内分子機構による作用があることが推測された。 GHは視床下部細胞に直接作用し、ソマトスタチンの分泌促進を介してGH分泌を抑制するとともに、STAT5-SOCS3を活性化することによりその作用を終息する機序があると考えられた。
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