研究分担者 |
片桐 秀樹 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00344664)
檜尾 好徳 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (10282071)
鈴木 進 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70216399)
石原 寿光 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (60361086)
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研究概要 |
細胞膜のリン脂質フォスファチジルイノシトールグリカンに由来するイノシトールグリカンがインスリンシグナル伝達のセカンドメッセンジャーであるとの説が提唱されている.Glycosylphosphatidylinositol(GPI)-specific phospholipase D(GPI-PLD)は、細胞膜のGPIアンカーを水解し、イノシトールグリカン、phosphatidic acid、GPIアンカー蛋白を遊離する酵素である.また、GPI-PLDは膵β細胞に豊富に発現しインスリン分泌に関与することが報告されており、GPI-PLDは2型糖尿病の候補遺伝子の1つと考えられる。 2型糖尿病患者と耐糖能正常者を対象として,同意を得た上で遺伝子解析を施行した.PCR直接シークエンスにより計6個のアミノ酸置換を伴う変異をエクソン1,11,21,22に同定した。エクソン1に存在する第17番アミノ酸Leu/Val多型および第30番アミノ酸Val/lleu多型により3つのハプロタイプが存在することが明らかとなった。ハプロタイプアレルの頻度は糖尿病群、IGT群、耐糖能正常群で有意に異なっており、変異型アレルの頻度は正常群に比してIGT群、糖尿病群で有意に高頻度であった。また、耐糖能正常群を対象とした解析で、変異型アレルを有するものは、膵β細胞機能の指標であるHOMA(β)が野生型に比して有意に低値であり、インスリン分泌低機能との関連が示唆された。また、合併症の有無、糖尿病治療法に関してアレルによる違いが認められた。 GPI-PLD遺伝子のインスリン分泌における役割を調べるため、化学合成オリゴRNAi、アデノウイルスRNAiを用いてインスリン産生細胞であるINS-1細胞のGPI-PLD遺伝子の発現を抑制した。また、GPI-PLD遺伝子の発現アデノウイルスベクターを作成し、インスリン産生細胞に遺伝子導入しGPI-PLDを高発現する細胞を作成した。 GPI-PLD遺伝子多型が日本人2型糖尿病との関連性が示唆された。GPI-PLD遺伝子多型はインスリン分泌障害を介して糖尿病と関連していると考えられる.
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