研究課題/領域番号 |
14571100
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
西川 武志 熊本大学, 医学部, 助手 (70336212)
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研究分担者 |
宮村 信博 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (40274716)
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キーワード | 糖尿病性腎症 / 糸球体過剰濾過 / ミトコンドリア / 酸化ストレス / シクロオキシゲナーゼ2 / プロスタグランジンE_2 |
研究概要 |
糸球体過剰濾過は糖尿病性腎症の初期に認められる異常であり、糸球体過剰濾過に伴う腎臓への負荷の増大は、糖尿病性腎症発症のキーステップであり、治療のターゲットである。糸球体過剰濾過の機序として、ミトコンドリア由来スーパーオキサイド産生増加、およびプロスタグラシジン(PG)合成のキーエンザイムであるシクロオキシゲナーゼ2(COX-2)発現誘導の可能性を検討することを目的として、本年度は以下の(1)、(2)を行った。 (1)培養メサンギウム細胞を30mMグルコース培養後、細胞内活性酸素、COX-2mRNA、COX-2蛋白、培養液中PGE_2をそれぞれFluorometer法、リアルタイムRT-PCR法、Western blotting法、ELISA法にて測定した。30mMグルコース培養により細胞内活性酸素、COX-2mRNA、COX-2蛋白、PGE_2は5mMグルコース培養に比し、各々2.9倍、4.2倍、5.2倍、4.6倍の増加を示した。しかし、30mMグルコース培養でCOX-1mRNAに変化は認められなかった。 (2)ミトコンドリア由来スーパーオキサイド抑制効果を持つマンガネーゼスーパーオキサイドジスムターゼ(MnSOD)、脱共役蛋白質-1(UCP-)1の過剰発現メサンギウム細胞を作成し、(1)と同様の検討を行った。MnSOD、UCP-1過剰発現メサンギウム細胞においては、30mMグルコース培養により認められた細胞内活性酸素、COX-2mRNA、COX-2蛋白、PGE2の産生・発現増加はそれぞれ完全に抑制された。 結論として、メサンギウム細胞においては高糖濃度培養により細胞内ROS、COX-2mRNA、COX-2蛋白、PGE_2の産生・発現増加が認められたが、MnSOD、UCP-1過剰発現細胞ではこれらの現象は抑制された。今後はCOX-2発現増加の機序をより詳細に解析する目的で、COX-2プロモーター領域の検討を行う予定である。
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