肥満関連SNPs(一塩基多型)測定に基づくテーラーメイド食事指導の実践

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14571106
• 研究機関: 京都府立医科大学
• 研究代表者: 吉田 俊秀 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (60079770)
• 研究分担者: 木暮 彰典 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (70336733)
• キーワード: 肥満 / SNPs / テーラーメイド医療 / 食事指導 / FABP2遺伝子多型 / Angiotensinogen遺伝子多型 / AGE遺伝子多型 / PPARγ2遺伝子多型

研究概要

我々は肥満・糖尿病の分子遺伝学的研究とその臨床応用に関する研究を進めている。現在までに、安静時代謝量に関係するSNPsとして、β3アドレナリン受容体遺伝子(β3-AR)多型(Trp64Arg)(200kcal/日減弱)、脱共役蛋白質1(UCP1)遺伝子多型(-3826A)(100kcal減弱)、β2-AR遺伝多型(Arg16Gly)(100kcal亢進)を見出し、これらSNPsの組み合わせに応じて食事摂取量を決定するテーラーメイド型食事指導を肥満・糖尿病外来で実践し成果を上げている。しかし、この3種類のSNPs測定だけではまだうまく減量できない患者もいる。そこで今回の研究では、肥満・糖尿病関連遺伝子SNPsを26種類に増やし、遺伝子解析成績と患者の臨床成績を総合的に分析することにより、より的確な遺伝子診断に基づく食事指導が可能かどうかを研究した。その結果、多型群がワイルド型よりも安静時代謝量が低下し痩せにくいSNPsとして、β3-ARとUCP1の他に、新たにFABP2遺伝子多型(Ala54Thr)(100kcal/日低下)、Angiotensinogen遺伝子多型(Met235Thr)(200kcal/日)、AGE遺伝子多型(G1704T)(350kcal/日低下)、PPAR-γ2遺伝子多型(Pro12Ala)(150kcal/日低下)を発見、逆に、ワイルド群より多型群の安静時代謝量が亢進し痩せやすい遺伝子多型として、β2-ARの他に、新たにKir6.2遺伝子多型(Glu23Lys)(100kcal/日亢進)、SUR1遺伝子多型(Arg1273Arg)(300kcal/日亢進)を発見した。さらに、これらの研究を通し、9種類のSNPsのチップ化は、以前に報告した3種類のSNPsの組み合わせよりも、より適切な食事指導が行えることを証明した。

研究成果

• [文献書誌] Yoshioka Keiji: "Coffee consumption and risk of type 2 diabetes mellitus."Lancet. 361. 703 (2002)
• [文献書誌] Yoshioka Keiji: "β2-Adrenergic receptor polymorphism and obesity in type 2 diabetes."Diabetes Care. 26(5). 1659 (2003)
• [文献書誌] Yoshioka Keiji: "No association between MTHFR gene polymorphism and diabetic retinopathy in type 2 diabetic patients without overt nephropathy."Diabetes Care. 26(6). 1947-1948 (2003)
• [文献書誌] Yoshioka Keiji: "Glimepiride and serum adiponectin level in type 2 diabetic subjects."Diabetes Care. 26(12). 3360-3361 (2003)
• [文献書誌] Yoshioka Keiji: "Fatty acid binding protein-2 gene polymorphism is not associated with diabetic retinopathy in Japanese type 2 diabetic patients."Horm.Metabol.Res.. 35. 625-627 (2003)
• [文献書誌] 李 東俊: "肥満女性の体力とβ_3アドレナリン受容体遺伝子多型の関係"肥満研究. 8(2). 155-161 (2002)
• [文献書誌] 李 東俊: "β_3アドレナリン受容体の遺伝子多型と減量効果"Health Science. 19(3). 203-212 (2003)
• [文献書誌] 李 東俊: "食事・運動療法とβ_3-AR遺伝子多型における食行動の認知的研究"肥満研究. 9(3). 323-329 (2003)
• [文献書誌] Yoshioka Keiji: "Methylenetetrahydrofolate reductase gene polymorphism is not related to diabetic nephropathy in Japanese type 2 diabetic patients."Diabetic Med. (In Press). (2004)
• [文献書誌] Yoshioka Keiji: "Adiponectin gene polymorphism (G276T) and diabetic retinopathy in Japanese patients with type 2 diabetes."Diabetic Med. (In Press). (2004)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "肥満症治療の最前線-遺伝子診断によるテーラーメイド医療"日本体質医学会雑誌. 64(1/2). 57-58 (2002)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "インスリン抵抗性への栄養学的戦略"臨床栄養. 100(6). 751-756 (2002)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "肥満症治療の最前線"日本病態栄養学会雑誌. 5(1). 11-15 (2002)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "肥満と肥満症:病期と重症度に合致した治療指針"Atherothrombosis. 5(2). 17-21 (2002)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "肥満に弱い日本人"日経サイエンス. 32(11). 26-32 (2002)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "肥満の基礎と臨床"埼玉県医学会雑誌. 37(1). 134-137 (2002)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "糖尿病のしくみと対応"JOHNS. 18(12). 2042-2046 (2002)
• [文献書誌] 高倉康人: "肥満症-テーラーメイド医療の展望"日本臨床. 60(1). 154-160 (2002)
• [文献書誌] 高倉康人: "日本人肥満の特徴とその遺伝子解析"内分泌・糖尿病科. 14(4). 414-421 (2002)
• [文献書誌] 高倉康人: "肥満と遺伝子"Medical Technology. 30(7). 760-761 (2002)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "リバウンドを防ぎたい"肥満と糖尿病. 2(1). 82-84 (2003)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "肥満症治療の最前線"生活衛生. 47(1). 3-9 (2003)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "一塩基多型遺伝子と肥満"臨床検査. 47(3). 310-312 (2003)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "肥満関連遺伝子診断に基づく肥満症のテーラーメイド食事指導の実践"臨床薬理. 34(3). 499S-500S (2003)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "日本人はなぜ肥満に弱いのか?-テーラーメイド型栄養指導のために知っておきたいこと"食生活. 97(6). 14-19 (2003)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "肥満遺伝子診断に基づく肥満症のテーラーメイド食事指導の実践"臨床医薬. 19(6). 538-545 (2003)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "肥満症から見た分子標的予防医学"細胞. 35(7). 252-253 (2003)
• [文献書誌] 木暮彰典: "β_3アドレナリン受容体多型とβ_3アゴニスト"細胞. 35(7). 254-257 (2003)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "遺伝子診断に基づく高血圧・糖尿病合併肥満症のテーラーメイド食事療法"日本臨床. 61(7). 1093-1098 (2003)
• [文献書誌] Yoshida Toshihide: "Obesity and tailor-made diet therapy based on analysis of gene polymorphisms"Clin.Pediatr.Endocrinol.. 12. 55-61 (2003)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "肥満の遺伝子と環境因子"日本医師会雑誌. 130(1). 50 (2003)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "分子栄養学からみた肥満の予防・治療"臨床栄養. 103(5). 554-558 (2003)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "減量のための遺伝子診断に基づくテーラーメイド食事指導"日本臨床スポーツ医学誌. 11(3). 422-427 (2003)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "体重コントロール:肥満合併糖尿病患者への指導"日本医師会雑誌. 130(8). S174-S177 (2003)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "高度肥満症に対する体質を含めた減量指導法について"肥満と糖尿病. 2(6). 28-30 (2003)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "遺伝子診断に基づくテーラーメイド型食事指導と減量効果"体育の科学. 54(1). 27-31 (2004)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "β_3アドレナリン受容体を標的とした肥満の分子治療"医学のあゆみ. 208(5). 318-322 (2004)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "日本人の肥満症:肥満治療に関するQ&A"総合臨床. 53(2). 355-360 (2004)
• [文献書誌] 阿部由希子: "β_3アドレナリン受容体遺伝子多型"日本臨床. (印刷中). (2004)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "肥満症の薬物療法:概念・ゲノム創薬"医学のあゆみ. (印刷中). (2004)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "肥満の薬物療法"現代医療. (印刷中). (2004)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "肥満治療の最前線-遺伝子診断に基づくテーラーメイド型食事指導"日本医事新報. (印刷中). (2004)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "肥満症の管理"日本病態栄養学会誌. (印刷中). (2004)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "糖尿病ナビゲーター(β_3アドレナリン受容体)"メディカルレビュー社(東京). 372 (2002)
• [文献書誌] 木暮彰典: "新時代の糖尿病学-病因・診断・治療研究の進歩"日本臨床社(東京). 781 (2002)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "エクセルナース:糖尿病編(肥満症)"メディカルレビュー社(東京). 325 (2002)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "臨床スポーツ医学19臨時増刊号(肥満の食事療法「生活習慣病の予防と治療」)"文光堂(東京). 333 (2002)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "外来診療のすべて 改定第3版(肥満)"メディカルレビュー社(東京). 1039 (2003)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "31医学と分子生物学「看護のための最新医学講座」(肥満症)"中山書店(東京). 481 (2003)
• [文献書誌] 若林保良: "31医学と分子生物学「看護のための最新医学講座」(痛風)"中山書店(東京). 481 (2003)
• [文献書誌] 吉田俊秀: "インスリン抵抗性(インスリン抵抗性に関連する新しい分子:β_3アドレナリン受容体)"講談社(東京)(印刷中). (2004)